東急電鉄と静岡県は、両社が所有している静岡県内各地の3次元点群データの相互利用を進める連携協定を締結した。防災力強化や観光業などの産業振興に、有効活用する考えだ。
東京急行電鉄と静岡県は2019年4月、県内各地の3次元点群データの相互利用を進めるため、「3次元点群データ利活用に関する連携協定」を締結した。既に保有しているデータに加え、新たに共同で収集しながら、防災力強化や観光業などの産業振興に役立てる。取得したデータは2019年11月頃、伊豆における観光型MaaS(Mobility as a Service)の第2期として下田市内で行う、自動車の自動運転の実証実験にも応用する。
3次元点群データは、レーザースキャナーを積んだドローンや車両を使って取得する建物や構造物などの位置を表す座標指標と色の要素を併せ持つ点の集合体。両社はこれまで、それぞれの事業の中で、3次元点群をはじめ、静岡県内の地理情報を収集してきた。
東急電鉄は、伊豆急行や東急ホテルズ、運営を担当する富士山静岡空港の周辺を対象に、首都高グループが開発した道路構造物の維持管理システム「インフラドクター」を利用してデータを取得。GIS(地理情報システム)と3次元点群データを使って、施設/設備の保守管理の省力化に役立ててきた。
静岡県は、公共工事で使用された点群データを集約して、国内初のオープンデータサイト「Shizuoka Point Cloud DB」を「VIRTUAL SHIZUOKA(バーチャルシズオカ)」として開設し、オープンデータとして公開している。それらのデータを活用した高精度地図では、自動車の自動走行実験「しずおか自動運転Show Case(ショーケース)プロジェクト」も進めている。
今回、点群データの利活用に向けた両者の方向性が一致したことで、公民連携で双方の強みを融合させ、地域の利便性向上、インフラ設備の保守管理の省力化や防災力強化、観光/エンタテイメント発信など、新たな価値の「共創」を図っていく。
協定では、3次元点群データの整備と相互利用を取り決めた。東急電鉄は下田市街のデータを集め、静岡県は県東部/伊豆半島の面的データと県道の3次元点群データを分担して集める。最終的に、県が持つ自然地形や県道のデータと、東急電鉄の線路、駅、施設などのデータをVIRTUAL SHIZUOKA上で統合し、面的な3次元データを構築する。
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