大屋氏は、Box Japanの事業戦略には3つの軸があるとし、「業務密着型のユースケース提案」「ユーザー間のコミュニティー支援」「日本オリジナルのエコシステムの構築」を挙げた。
機能が強化され多様な処理や連携が行えるようになったBoxだが、ユーザー側からすればその全体を理解し、どの機能が自分たちの業務に必要なのかを判断するのはまだ分かりにくい。当然ながら、スーパーゼネコン、プラントエンジニアリング、ハウスメーカーではBoxの使われ方がそれぞれ違うだろう。設計事務所、設備工事会社、建設コンサルタントでも同様だ。
そこで、実際の利用に即した具体的なイメージを提供するのが、「業務密着型のユースケース提案」となる。設計、営業などの業務でBoxがどのように使えるか、その具体的なユースケースを示す。
また、Box活用方法は、必ずしもベンダー側からのみ提示するだけが最善ではない。Boxを利用するユーザー側からも知見を出してもらう機会や場所となるのが、「ユーザー間のコミュニティー支援」だ。
既に建築に関するユーザー会が立ち上がり、定期開催される会合で活発な意見交換が交わされている。Box側でも、情報交換や提供の場として「BoxWorks」を毎年、日本と米国で催している。
3本目の矢となる「日本オリジナルのエコシステムの構築」は、日本発のメーカーとの連携を大事にしていく方針を打ち出している。コンテンツの一元化は、Boxだけで全てをカバーするのではなく、他のいろいろなシステムと連携することが求められる。
既にMicrosoft、Google、Salesforce、DocuSignといった海外のサービスと連携するBoxだが、日本発のサービスも追加。具体的には、建設の図面共有を提供する「CheX(チェクロス)」、建築図面・現場施工管理アプリの「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」、デジタル野帳の「eYACHO(イーヤチョウ)」などとは現時点で相互連携できている。今後は、顧客からのニーズに応じた他社との連携を継続していく予定とのことだ。
大屋氏はBoxの建設市場での展開について、「これからは、大手や準大手だけでなく、従業員2000人以上の建設業も対象にBoxの価値を届けていく。大手、準大手、地方建設業、発注者、建材メーカーなど、建設サプライチェーン全体でのBox利用を視野に入れており、そうなればBox上でできる業務範囲が広がっていき、最終的には業界全体での業務プロセス変革に結び付くはず」と期待を寄せた。
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