“非構造化データ”の情報基盤で建設プロセスを最適化、Boxに聞くこれからの建設DXスタンダードに必要なことクラウド(2/3 ページ)

» 2022年12月09日 15時29分 公開
[川本鉄馬BUILT]
Box Japan 執行役員 営業本部 副本部長 大屋俊一郎氏

 建設業でも、以前から、ERP(統合基幹業務システム)、属性情報を含むBIM/CIMのデータ、その他にもデータベース化された構造化データを扱ってきた。しかし、DXに向けた方策として昨今では、設計図、施工関係のドキュメントといった非構造化データである“コンテンツ”を、業務プロセスの最適化のために、もっと活用したいとのニーズが高まってきている。

 大屋氏は、「コンテンツのライフサイクルを一元的に管理できるBoxに相談すると、良い解決策が得られるのではなかろうかとの観点から、相談いただくことが増えている」と話す。その点で大屋氏は、建設業界におけるBoxを“後方支援をするDX”と標ぼうする。

 Boxがクラウドストレージサービスを建設向けにパッケージ化したContent Cloud for Constructionは、非構造データであるコンテンツをクラウド上で一元管理し、さらに利活用するための基盤となる。建設業界でのクラウドの使われ方が、データの共有を主とする情報基盤から、データマネジメント基盤へとシフトしている流れに合わせたサービス体系となっている。

インフラ基盤からデータマネジメント、業務システムの領域へ

 Content Cloud for Constructionを使うと、図面を現場で閲覧などしていた現場NAS(ネットワークHDD)に代表されるような、これまでさまざまな場所に保管していた各種の非構造化データを、クラウド上にまとめ、属性を付与して統合的に管理できるようになる。そうなれば、各コンテンツ間の関連性が整理され、業務や作業の詳細が関係者間で多角的に把握できるようにもなる。結果的に、コミュニケーションの分断も解消され、業務の効率化が実現する。つまり、デジタル変革の後押しにつながる。

 Boxでは、DXの推進を受け、コミュニケーションを活性化させる仮想オンラインホワイトボードの「Box Canvas」に加え、日本特有のハンコ文化を脱却する電子契約に対応した「Box Sign」などの新機能も、Content Cloud for Construction内に用意している。

ISMAPを取得、強固なセキュリティでモノづくりDXを後方支援

 Boxの用途がデータマネジメント基盤へシフトする流れは、その先に「業務システム基盤として利用したい」という顧客の声をすくい取ることも見据えている。

 かつてのクラウドサービスは、データ共有のためのストレージ的な意味合いが強く、外部の協力会社などと“データをやりとりする箱”として利用されていた。しかし、いまでは蓄えられたデータから業務に必要な部分を抽出し、生産性や安全性を高めるデータドリブン経営にも活用されている。さらに、業務処理を再構築して、業務全体のプロセスを最適化するようなプラットフォームとしても注目されている。

 クラウドの利用がこのように広がると、当然ながらセキュリティの安全性が重要となる。建設業の場合、かつての情報共有は、企業内やプロジェクト単位で完結していた。しかし、昨今の建設テックの潮流を受けて、建設会社はハイテク技術を持つベンチャー企業ともコラボレーションしていかなければならない。以前と比べて多彩な企業と数多くデータ連携するシーンが増え、これまで以上にITやIoTなど業務で扱うデータの範囲も拡大したことで、セキュリティでも高い安全性が求められるようになった。

 安全性の面でBoxは、強固なセキュリティ機能を備えている。その1つとして、非構造化データをそのままクラウド上に格納すると、機密レベルを分類して管理する機能がある。また、アクセスするユーザーの振る舞いをAIで分析し、不正行為を防ぐ機能も有している。

AIを使って、ユーザーの悪意ある振る舞いを検出

 他にも特筆すべきこととして、情報共有やコラボレーションの対象が広がったこと、特に公共機関や自治体などとの連携を考慮し、2021年には政府のクラウド採用基準であるISMAPも取得した。ISMAP取得により、逆に言えばBoxが安心してデータを共有できるクラウド基盤であることが証明されたことにもなる。さらに、強固なセキュリティが担保されたことで、発注者にあたる国の出先機関や自治体、高速道路など、公共工事の市場へのビジネスを強化することも可能になった。

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