ワークスモバイルジャパンは、建設現場で働く施工管理者や作業員など2088人を対象に、インターネットを用いて実態調査を行った。その結果、建設業に2024年4月から適用される残業の上限規制について理解している人が全体の33%と半数以下であることが判明した。
ビジネス版のLINE「LINE WORKS」を運営するワークスモバイルジャパンは、建設現場で働く施工管理者や作業員など2088人を対象に、インターネット上で建設現場の実態・意識に関する調査を2022年1月24日〜2月4日に行い、リサーチの結果を2022年6月13日に発表した。
調査結果によれば、「建設業にも2024年4月から適用される残業の上限規制について知っているか」と対象者に聞いたところ、「聞いたことがない」と答えた人は全体の38%で、最も多かった。次いで、「内容はよく分からないが、聞いたことはある」は30%で、「だいたい理解している」は23%、「内容までよく理解している」は10%となった。
「2024年から労働時間が規制されることに合わせて導入された施策はあるか」と対象者に質問したところ、「とくに対応していない」と返答した人は全体の78%で、「ある」と回答した人は22%だった。
また、「残業時間起因のストレスを感じている比率」について調査したところ、全体の32%がストレスを感じており、うち施工管理者の41%と20〜30代の施工管理者における54%がストレスを体感していることが判明した。
「現在、転職を検討しているか」と対象者に尋ねたところ、全体の12%が同業種への転職を検討しており、13%が異業種への転職を検討していることが分かった他、施工管理者の14%が同業種への転職を検討し、10%が異業種への転職を検討していることが発覚した。うち、20〜30代の施工管理者では、24%が同業種への転職を検討し、20%が異業種への転職を検討していることが露見。
仕事をしている現場の状況について、複数回答可能の条件で対象者に聞いたところ、全体の47%が「現場で写真を撮って、事務所に帰ってから整理」と回答し、最多となった。
次いで、「図面、報告書など紙で出力することが多い」は44%で、「協力会社との調整・情報共有に時間がかかる」は33%、「電話対応が多い」は31%、「対面で会議している」は31%、「報告書/日報を書くために事務所に戻っている」は29%。
加えて、協力会社との調整・情報共有にかかる時間について、対象者にリサーチしたところ、1人当たり月換算で17時間を費やしていることが露呈した。
上記の結果を踏まえて、ワークスモバイルジャパンでは、現場で働く人の労働時間や日数が他産業に比べて多いとされている中、2024年4月から労働時間の規制が本格的に始まり、違反した場合に罰則が科される場合があるが、現場で働く作業者では知らない人が多かったと振り返った。
さらに、施工管理者の現場実態に関する調査結果を考慮し、現場で写真を撮り事務所に帰ってから整理し、図面や報告書を紙で印刷するケースが多数あるが、これらをデジタルに置き換える事により残業時間を削減できる可能性があると期待を寄せた。
調査時期:2022年1月24日〜2月4日
調査対象:施工管理者は1092人、現場作業員/職人は996人で、対象者の企業規模は1万人以上が239人、100〜999人が288人、1〜99人は1528人
男女比:男女20〜69歳
調査手法:インターネットによるアンケート調査
サンプル数:2088人
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.