本調査では、建設技術者の2030年における需給ギャップは、ベースライン成長シナリオで3.2万人の不足、成長実現シナリオでは最大6万人にまで人材不足が拡大するとの試算結果が明らかになった。
建設技能工については、ベースライン成長シナリオで23.2万人の不足、成長実現シナリオでは不足数が36.4万人にまで広がる試算結果となった。なお、ゼロ成長シナリオでも、建設技術者が2030年に過剰に転じる一方で、建設技能工は5.9万人が足りなくなる予測となるなど、建設技能工の不足は大きな課題といえる。要因としては、転職での流出者数が流入者数を大幅に上回っていることが背景にある。働き方改革の推進などによる職場環境の整備や国土交通省が推進している「建設キャリアアップシステム」などの仕組みを活用したキャリアプランの設計など、職業としての魅力度を上げる試みに加え、特定技能在留資格制度を活用した外国籍人材の確保していくことも重要になると考えられる。
建設技術者と建設技能工の将来シミュレーションは、2015年の国勢調査における建設技術者数と建設・採掘従事者数をベースに試算。また、人材の増加減少の要因については、図表3をもとに建設HRが独自に推計した。
建設技術者と建設技能工の需要数は、建設投資額に比例して増減すると想定し、「A.ベースライン成長シナリオ」「B.成長実現シナリオ」「C.ゼロ成長シナリオ」の3パターンで試算した。
3つのシナリオはともに、2021年までの建設投資額は、国土交通省の「2021年建設投資見通し」をベースにシミュレーションしている。2022年以降の建設投資額は、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」と、野村総研「住宅着工戸数の将来予測」を使用し、ベースライン成長ケースおよび成長実現ケースの経済成長率、消費者物価上昇率から、建設HRが独自に導き出した。
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