スウェーデンの球場建築で可動式音響天井システムを刷新、太陽工業新工法

太陽工業は、ドイツの現地法人を通じてスウェーデン、ストックホルムのアヴィーチーアリーナの大規模改修工事に参画し、可動式音響天井システムの設計・製作・施工を手掛けた。

» 2025年06月23日 09時00分 公開
[BUILT]

 太陽工業は2025年6月、ドイツ現地法人Taiyo Europeを通じてスウェーデンストックホルムのイベント施設「アヴィーチーアリーナ(Avicii Arena、旧:エリクソングローブ)」の大規模改修工事に参画し、可動式音響天井システムの設計や製作、施工を手掛けたと発表した。

ケーブル構造と可動パネルで、イベントに応じた音響を最適化

 アヴィーチーアリーナは直径110メートル、高さ85メートルで、発表によると世界最大の球体建築だという。1989年に完成し、収容人数1万6000人規模でスポーツや音楽イベントで活用されてきた。近年の多目的施設としてのニーズの高まりと音響性能の技術的進化を受け、観客席やラウンジエリアの拡張を含む、施設の全面的な刷新が行われることとなった。

 今回、導入した可動式音響天井は、452枚の膜材パネルを用いたケーブルネット構造を採用している。厚さ100ミリの各パネルは断熱材入り膜材を使用し、アリーナの湾曲形状に沿って電動チェーンで開閉可能で、10分程度でイベント内容に応じた音響環境に切り替えられる。

 音響天井刷新で、スポーツイベントや式典、コンサートといったさまざまな用途で最適な音響条件を設定可能となった。Taiyo Europeの施工範囲は屋根面積3900平方メートルで、各パネルの寸法は各3.84×2.26メートル。屋根素材は、両面PVC膜とポリエステル製吸音材を組み合わせた。使用したケーブル総延長は4409メートルとなっている。

 改修工事は2024年1月から2025年1月にかけて実施し、2025年2月に再オープンした。設計はHOK、C.F.Moller Architects、構造設計はSchlaich Bergermann Partner、構造解析はMaffeis Engineering。施工の元請けはNCC Building Sweden、協力会社はMontage Service、MBM。パネル駆動システムはLanaroが手掛けた。

 今後は2027年のバスケットボール欧州選手権女子大会(EuroBasket Women)などの国際大会の開催も予定している。

アヴィーチーアリーナ アヴィーチーアリーナ 出典:太陽工業プレスリリース

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