高松城跡桜御門を焼失前の姿に復元する工事が上棟、清水建設プロジェクト

清水建設は、全国で神社仏閣を中心に伝統木造技術を用いる工事を数多く手掛けており、現在は、現在は、「高松城跡桜御門」の復元整備工事を進めている。

» 2021年11月19日 13時00分 公開
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 清水建設は、香川県高松市玉藻町の高松城跡桜御門で、2021年6月6日に上棟式を行った後、復元整備工事を進めている。

クギなどの金物を使わずに柱や梁を組み立てていく手法を採用

 史跡高松城跡桜御門復元整備工事の発注者は、香川県高松市で、2022年1月の完成を予定し、2021年11月9日には瓦葺きが完了した。桜御門の大きさは、12(幅)×9(高さ)×5(奥行き)メートルで、伝統木造技術を用いて、1945年の高松空襲で焼失した前の姿に復元する。

 今回使用した伝統木造技術では、宮大工が木材の接合部に特殊な加工を施し、クギなどの金物を使わずに柱や梁(はり)を組み立てていく手法を採用。加えて、木材を継ぎ足し一体化するための加工「継手(つぎて)」と柱・梁を組み合わせ一体化する加工「仕口(しぐち)」も活用している。

 継手と仕口の加工方法に基づき、経験豊富な6人の宮大工が腕を振い木材の加工・組み立てを行っている。桜御門に用いる木材使用量は約60立方メートルで、1階の鏡柱と梁「表冠木(おもてかぶき)」には福井県産のケヤキ材を採用し、2階の柱と梁には岩手県産の松材を使用した。

「槌打ちの儀」 出典:清水建設プレスリリース

 上棟日の工匠式では、平安時代に始まったとされ、工匠(宮大工)たちが儀式を通じて造営した建物が末永く安泰であることを祈念する儀式を行った。具体的には、式典出席者が棟木を綱で引き上げる「曳綱(ひきづな)の儀」、棟木(むなぎ)を屋根の一番高い位置に組み納める「槌打(つちうち)の儀」を実施。槌打の儀では、振幣(ふりへい)役を務めた宮大工の棟梁(とうりょう)が建物の安泰を祈って「千歳棟(せんざいとう)」「万歳棟(ばんせいとう)」「永永棟(えいえいとう)」と声高らかに発声した。掛け声に合わせて棟に上がった工匠が槌で棟木を打ち付け、上棟を祝った。

「奉行による誦門奏上」 出典:清水建設プレスリリース

高松城跡桜御門の概要

 高松城跡桜御門は、木造地上2階建てで、延べ床面積は57.84平方メートル。建設地は高松市玉藻町地内。設計は文化財保存計画協会が担当し、施工は清水建設四国支店が担い、正しくは2019年12月19日〜2022年1月28日。

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