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» 2021年11月08日 10時00分 公開

世界遺産「韮山反射炉」が清水建設の施工で改修完了、煉瓦に漆喰塗りで創建時を再現リノベ

清水建設が施工を担当してきた世界遺産「韮山反射炉」のリニューアル工事が完了し、このほど一般公開した。

[BUILT]

 静岡・伊豆の国市は、清水建設が受注し、2020年10月より進めてきた世界遺産「韮山反射炉」の保存修理工事が完工し、2021年10月30日から一般公開すると公表した。

建造時と同様に煉瓦表面の一部に“漆喰塗り”を採用

工事前の「韮山反射炉」 出典:伊豆の国市「韮山反射炉保存修理工事について」Webサイト

 韮山反射炉は、西洋式大型大砲の鋳造に必要な反射炉(金属融解炉)として1857年11月に完成し、1864年まで稼働していた。鋳鉄の溶解が実際に行われた反射炉では世界で唯一現存する遺構とされている。今回の保存修理工事は、2015年7月のユネスコ世界遺産(文化遺産)登録後は始めての改修で、1985〜1989年に行われた大規模保存修理工事以来、32年ぶりのリニューアルとなる。

 これまで32年の間に、煙突内部や炉体内部は風雨の影響を受けづらいため、目立った破損は無かったものの、外部の煉瓦(れんが)や石材、鋼材の塗装などが目視で確認できるほどに劣化していたため、2018年に伊豆の国市が保存修理工事の実施を決定。その後、文化財建造物保存技術協会が基本・実施設計・監理を担当し、清水建設が2020年9月に工事を受注して翌10月に着工した。総事業費は1億4745万円。

工事中の「韮山反射炉」。外観を見えるようにメッシュタイプの工事シートを使用 出典:清水建設プレスリリース

 工事の概要は、煉瓦の補修と反射炉本体の補強鉄骨の塗装をメインとし、反射炉本体への漆喰(しっくい)塗りの試験施工も含まれた。建設当時に煉瓦部分は、漆喰で覆われていたが、改修前には痕跡が残っているのみだったため、建造時と同じく煉瓦表面に漆喰を塗る方法を検討する目的で行った。

 煉瓦補修では、比較的劣化が少ない850カ所については、モルタルと漆喰で表面を補修。劣化が進んでいる240カ所は、補足煉瓦を表面に貼り付けて固定した。また、著しく劣化している208カ所は全部、または一部を新しい煉瓦に置き換えた。補強鉄骨の塗装は、全ての塗装を剥(は)がし、鋼材にさびや劣化が無いことを確認したうえで下地処理とフッ素樹脂塗装を施した。なお、漆喰塗りの試験施工は、反射炉本体の一部に実施した。

保存修理工事前後の煉瓦の比較(南炉煙突北面中断の煉瓦) 出典:清水建設プレスリリース
保存修理工事前後の補強鉄骨 出典:清水建設プレスリリース
反射炉本体への漆喰塗りの試験施工前後 出典:清水建設プレスリリース

 これまでの工事の経過としては、2020年10月の仮設足場の組み立てからはじまり、同年11〜12月に煉瓦の劣化調査、同年12月〜2021年3月に補修用煉瓦製作、同年4〜5月に煉瓦補修、同年6〜8月に鉄骨塗装、同年9月に漆喰塗りの試験施工。10月以降は仮設足場の解体工事を行った。

韮山反射炉保存修理工事の概要 出典:伊豆の国市「韮山反射炉保存修理工事について」Webサイト

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