スマートビルが当たり前の社会を目指すべく、建築、設備、ITの業界を横断した「スマートビルディング共創機構」が2025年4月に設立した。省エネや快適性向上、DXなどで、新たなビルの価値創出を目的に、森ビル、ソフトバンク、大成建設、竹中工務店、東急建設、パナソニック EW社、日立製作所など、設立当初115社/団体が参画する。
スマートビルの一般社会での普及を目指す「スマートビルディング共創機構」が2025年4月に一般社団法人として登記し、2025年5月下旬〜6月上旬に設立総会を開催する。産学官を巻き込んだ多種多様なステークホルダーが参画し、3月時点で115社/団体の参加が決定している。
発起人会メンバー12社は、Andeco(アンデコ)、scheme verge(スキームヴァージ)、セコム、ソフトバンク、大成建設、竹中工務店、東急建設、パナソニック エレクトリックワークス社、日立製作所、ビットキー、ビルポ、森ビル(順不同)。
各種のデジタル技術を活用したスマートビルは、空調やエレベーターの制御といったビル単体で完結していた運用から、周辺のビルやビル内のサービスに関するデジタル技術と連携するシステムへの進化が求められている。スマートビル共創機構は、こうした環境変化を受け、技術の標準化やスマートビルに関わる人材育成などを通じ、公益性と公共性を担保しながら、スマートビル市場の発展と国際競争力の強化を目標に定める。
2025年3月27日に都内で開催した設立会見では、発起人会のメンバーがスマートビル共創機構への期待を語った。
Andeco(アンデコ) 代表の早川慶朗氏は、地方公共施設でのスマート化の遅れを指摘し、「設計・積算の基準が整備されていないため、スマート化が予算に組み込まれない。共創機構では、地方の小規模施設でも導入可能な設計・積算の標準を作っていきたい」と語った。
scheme verge(スキームヴァージ)の嶂南(やまなみ)達貴氏は、「都市のマイクロサービスアーキテクチャを考える上で、単位となるのは建物やビルだ。(建物の新旧を問わずに)ビル単位でデータ連携ができれば、都市の見える化と包括的な施策の立案が可能になる」とし、そのためにはスマートビルの規格化が必要と説いた。
セコムや日立製作所は、サイバー/フィジカル両面でのセキュリティ強化を掲げる。「運用やメンテナンスまで、スマートビルの“継続性”こそが重要となる。セコムが持つオペレーションのノウハウや知見を共創機構に役立てたい」と述べたのはセコムの早坂琢磨氏だ。
竹中工務店の政井竜太氏は、「これからの日本は今あるビルを長く使う時代に入る。ビルの状況把握や制御にはアプリの開発も欠かせない。オープンなアーキテクチャのもとでの連携が不可欠。単独では広がりを持たせにくい中、スマートビル産業全体で発展していかなければ」と力説した。
スマートビルディング共創機構の代表理事を務める竹田真二氏(森ビル オフィス事業部営業推進部/企画推進部 部長)は、「真のスマートビルディング/スマートシティーの実現には多様な業界の知恵や協力が必須となる」と共創機構の意義を語った。
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