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» 2021年06月16日 09時00分 公開

BIMで歴史的木造建造物の軸部材を仮組みする手法を開発、安藤ハザマらBIM

安藤ハザマとアールテックは、大正時代に建てられた木造歴史的建造物の柱材補修をする前に、採用されていた軸部材のBIMモデルを利用し、仮想空間上で仮組みを構築する手法を開発した。

[BUILT]

 安藤ハザマとアールテックは、大正時代に建てられた木造歴史的建造物で使用されている軸組部材の3Dモデルを使ってBIM上で仮組みを行ったことを2021年3月30日に発表した。

応用することで復元ポイントの創建時と解体時の比較も可能

 近年、木造の文化財や歴史的建造物の多くでは、建物の経年変化による傾きや不陸(ふろく)※1、部材の腐朽が発生している。それらの復元と保存修理では、解体時の調査結果から、傾きや不陸を調整し、部材の高さなどを決める。

※1 不陸:平らではなく凹凸があることや水平ではないことを指す

 復元工事では、木材の腐朽部や損傷部の補修後に、実部材を使用した仮組みを実施することが通例だが、柱の足元が腐っていると、最初に柱材の補修をした上で仮組みをしなければならないため、仮組みするのに時間がかかっていた。

 そこで、安藤ハザマとアールテックは、大正時代に建てられた木造歴史的建造物の柱材補修をする前に、建物で採用されていた軸部材のBIMモデルを利用し、仮想空間上で仮組みを構築する手法を考案した。

 その後、両社は、文化財・歴史的建造物の復元修理で行う実際の作業を念頭に置き、木造歴史的建造物の軸部材をスキャニングし、そのデジタルスキャンデータから作製した3Dモデルを使ってBIM上で組み立て、2次元設計図から起こした3D復元設計モデルと比較し、有効性について検証した。

仮組みされた軸部材3Dモデル(9箇所12部材)と3D復元設計モデルの重ね合わせ 出典:安藤ハザマ

 結果、スキャニングから得られるデータだけでは、BIM上での操作は困難だった他、軸部材の3Dモデルには、柱や梁(はり)などの物理特性情報※2がなかったため、部材同士の干渉を自動でチェックすることができなかった。

※2 物理特性情報:体積や重量など、物体としての情報。使用した軸部材3Dモデルは、点、線、面のつながりでできた「境界」のデータであり、重量や体積が無い

 解決策として、アールテックは、軸部材のスキャニングとモデリングを担当し、仮組みに必要な基準やハンドルポイントとなるデータを加えた3Dモデルを作成した。そして、安藤ハザマは、アールテックが作った3Dモデルを用いるとともに、独自の文化財・歴史的建造物の施工技術を活用して、軸部材の組み立てに必要な実際の作業を踏まえ、BIM上での仮組みを実施。

棟木の「腰掛け鎌継ぎ」の継手接合部(左)と柱と桁の仕口接合部(右) 出典:安藤ハザマ

 接続部については、CADの3D断面機能を利用し、部材同士のねじれや干渉が無いように微修正を繰り返した。次に、仮組みを終えた3Dモデルを3D復元設計モデルに重ね合わせ、復元図の妥当性を検証し、当該手法の有効性を確かめた。

 今回の方法は、応用することで、復元ポイントの創建時と解体時を比べられることが想定されている。今後、両社は、設計・施工BIMへの展開と活用も視野に入れ、国内に多数存在する文化財・歴史的建造物の保存復元、伝統技術の継承に貢献していく。

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