「建設費高騰で発注者の6割が危機感、BIM活用は重要だがEIRは浸透していない」野原グループが独自調査調査レポート(1/3 ページ)

BuildApp総合研究所は、建設費高騰が続く中、建築主(工事発注会社)に対し、現在の危機感、BIM要件(EIR)提示の実態などを調査した。その結果、約6割が建設工事を取り巻く現状に危機感を抱き、建設プロジェクトの品質を落とさず、計画通りに実行するには、BIM活用で設計・施工の生産性向上が必要との回答が最多の3割超えとなった。

» 2025年05月27日 12時00分 公開
[BUILT]

 野原グループのBuildApp総合研究所は2025年5月13日、建設工事の発注会社に勤務する全国の20〜70代の420人を対象に、建設工事を取り巻く現状など意識調査の結果を公表した。

 背景には、昨今の建設費高騰の影響から、都市開発や公共施設の工事案件で計画見合わせや着工遅れが出始め、多くのゼネコン、サブコンが赤字プロジェクトを抱えている問題がある。また、2024年12月に明らかにしたBuildApp総合研究所の調査レポートで、施工BIMのフロントローディング実現に必要なのは、「発注者(建築主)の意識変容」が最多回答の39.3%となったこともあり、今回建築主の意識を探ることとなった。

発注者の6割が建設工事を取り巻く現状に危機感

 建設工事を取り巻く現状の危機感について質問したところ、1位は「やや危機感がある(39.5%)」、2位「かなり危機感がある(19.5%)」、3位「わからない(16.4%)」、4位「あまり危機感はない(14.8%)」、5位「ほとんど危機感はない(9.8%)」との結果となった。建築主(工事発注会社)の約6割にあたる59%が、危機感を抱いていると判明した。

建設工事を取り巻く現状への危機感 建設工事を取り巻く現状への危機感 出典:BuildApp総合研究所プレスリリース

 会社種類別の危機感では、建設コンサルタントが他に比べて高い傾向となった。

会社種類別_建築主の「建設工事を取り巻く現状への危機感」 会社種類別_建築主の「建設工事を取り巻く現状への危機感」 出典:BuildApp総合研究所プレスリリース

労務費の増大が危機感を抱く要因の1位に

 「やや危機感がある(39.5%)」「かなり危機感がある(19.5%)」と答えた248人に要因を聞くと、1位「労務費の増大(51.2%)」、2位「物流コストの増大(45.2%)」、3位「建設資機材価格の高騰(44.8%)」、4位「現場作業員数の減少/人手不足(33.9%)」、5位「工期遅延(22.6%)」の順。建築主が持つ危機感の根底には、建設コスト増が負担となっているのが分かる。

危機感を抱く要因のトップ3は建築費用の高騰関連 危機感を抱く要因のトップ3は建築費用の高騰関連 出典:BuildApp総合研究所プレスリリース
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