大林組とトヨタの未来創生センターなど4社は、コンクリ路面にLEDを設置し、人が歩くと発光してドライバーに注意を促す高機能の横断歩道を開発した。路版をユニット化しているため、設置や取替えが簡単で、豪雨時の排水機能も備える。
大林組は2025年5月20日、トヨタ自動車の未来創生センター、豊田中央研究所、大林道路と共同で、変化する街や道路インフラのニーズに合わせ、迅速かつ容易に更新可能な高機能化舗装「マルチペイブ」を開発したと発表した。リリース前日の5月19日には、東京都清瀬市の大林組 技術研究所で実物大のモックアップによるデモを披露した。
マルチペイブを開発した意図を技術研究所 地盤技術研究部 課長 粕谷悠紀氏は、「交通事故の半数は歩行者や自転車が占め、自宅から500メートル以内で発生している。そうした幅員5.5メートル未満の生活道路は、幹線道路に比べ事故数が減っておらず、事故防止策として考案した」と語る。
交通インフラの観点では、これから電気自動車や自動運転、非接触給電や路車間通信などのモビリティー新技術が登場することで、大きく変化すると予想されている。新たな技術が普及するには、迅速かつ容易に道路を更新する仕組みが必要で、既存道路ではアスファルト舗装の再施工や地下埋設物の更新に多大なコストや工期が掛かっていた。
そこで4社は従来のアスファルト舗装の代替として、短時間で簡単に更新可能で、交通の注意喚起をする路面の発光機能や豪雨への備えにもなる透水/排水機能などを備える高機能化舗装を開発した。各社の役割は、構想段階から大林組とトヨタ自動車が協力し、豊田中央研究所は材料の調達、大林道路は施工をそれぞれ担った。
マルチペイブは、600×600×130ミリにユニット化したRC製の横断歩道。ユニットタイル同士は、敷砂上に設置したズレを防ぐゴム付きのアルミ製連結板で固定する。連結板はコの字型で施工時に位置決めの目安となり、車両の荷重を分散させて路版の沈み込みや破損を防ぐ。交換性も考慮し、目地砂を用いず目地を埋めないので、設置や取外しも容易。ユニット1つの重さは約115キロで、5トン級クレーン機能付きの油圧ショベルで吊(つ)って配置する。
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