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» 2021年08月17日 14時00分 公開

オープンスペースでの音漏れを10分の1に抑える傘上の会話支援システム、清水建設とTOAスマート化

清水建設とTOAは、オフィス内での会話が周囲に拡散するのを抑制する天井に設置するカサ状の新たな設備「オトノカサ」を開発した。オープンエリアなどのデスク真上に設置することで、話し声を拾って指向性スピーカーから拡声した音声を天井に吊(つ)るしたカサの下だけに届けるため、周囲への騒音とならない。

[BUILT]

 清水建設は2021年8月4日、TOAと共同で、オープンなオフィス空間で交わされる会話が周囲に拡散するのを抑制する音環境制御システム「オトノカサ」を開発したと発表した。

 オトノカサは、打ち合わせ場所の上部を覆う放物面の焦点に設置したスピーカーから、マイクで集音した会話音声を上向きに放射することで、放物面の直下にのみに拡声された音声を提供する指向性会話支援システム。打ち合わせ時の声量を抑えてもスムーズな会話のやりとりが可能になり、周囲の執務者が会話音に煩わされずに執務に集中できるようになる。

放物面状の天井に会話音声を拡声して反射

point 0 marunouchiに導入されたオトノカサのイメージ 出典:清水建設、TOA

 近年、働き方改革の一環としてテレワークが普及する一方、オフィスには、従業員間のコミュニケーションや協働を促進するための機能がより求められている。そのため、打ち合わせや従業員の触れ合いの場として利用できる多様なオープンエリアを導入する動きが広がりつつある。ただ、会話や議論が盛り上がり話し声が大きくなり過ぎると、周囲の従業員がうるささを感じ、集中力や生産性の低下を招いてしまう。オトノカサは、こうした課題を解決するオープンエリアの音環境制御技術として開発された。開発にあたっては、清水建設がシステム構成やハウリング対策の考案、TOAがマイクとスピーカーの組み合わせや出力設定の検討を担当した。

 オトノカサは、放物面状の天井(カサ)と、カサの下で交わされる会話音声を収録するマイク、放物面の焦点からカサに向かって会話音声を拡声するスピーカーで構成。焦点から放物面に放射された音声は、パラボラアンテナの原理により、一様に真下に向かって反射する。そのため、拡声された音声はカサの下にいる人にのみ届き、カサの外には広がらないので、周囲に与える影響を最小限に抑えられる。

オトノカサの原理 出典:清水建設、TOA

 実証実験では、カサの外(カサ端部から1メートルの距離)での拡声音の音圧レベルはカサの下(中央部)での測定値より約10dB(デシベル)低く、物理的な音のエネルギーとしては約10の1に抑制されることを確認した。また、「未来のオフィス空間」づくりに取り組む、東京都千代田区丸の内の会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」にシステムを試験導入し、カサの下で会話をする話者の音声が無意識に小さくなるという結果も得られたという。

 清水建設は今後、TOAと連携して、コラボレーションエリアを設けるオフィスの新築工事や内装改修工事を対象に、オトノカサの導入提案を積極的に進め、執務者がストレスなく働けるオフィスづくりに貢献していくとしている。

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