三菱電機は、ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille」に新機能として、サービスロボットのセキュリティエリアを超えた横移動を可能にする「入退室管理システム連携」と、複数棟の設備稼働状況をクラウドで一元管理する「遠隔監視・制御」を追加した。
三菱電機は、ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille(ヴィルフィーユ)」を活用したビル運用支援サービスで、既存のロボット移動支援サービスに「入退室管理システム連携」と、エネルギーマネジメントサービスに「遠隔監視・制御」をそれぞれ追加し、2021年111月1日に提供を開始した。
基盤となるVille-feuilleは、ビル内設備の稼働データやセンシングデータなどを収集・蓄積し、AIやビッグデータ解析などの最先端技術を活用してデータ処理を行うIoTプラットフォーム。APIをオープンにしているため、サービス運営企業が独自のアプリケーションを実装できるのが特長となっている。第一弾では、警備や清掃、物品搬送などの自走式ロボットの円滑なビル内移動をサポートするロボット移動支援サービスと、クラウド上に電力使用量などのエネルギーに関連するデータを蓄積して遠隔で確認するエネルギーマネジメントサービスの2種類を2020年10月から提供している。
今回、Ville-feuilleに加わった機能の1つ、入退室管理システム連携は、ロボット移動支援サービスに紐(ひも)づく連携機能で、セキュリティゲートや自動ドアを通過する際、入退室管理システムにロボットのIDを渡して通行権限を認証。ゲートの開放や扉の解錠、サービスロボットへの通行タイミングといった指示を自動で与え、ロボットの円滑なフロア間の自律移動を可能にする。
これまでのエレベーターを利用したロボットの上下階移動に加え、セキュリティエリアを跨いだ横移動も加わったことで、縦横のシームレスなビル内移動が実現。また、各種ロボット業務を従来よりも少ない台数で、より広い範囲をカバーできる。
一方、エネルギーマネジメントサービスを対象にした遠隔監視・制御の機能は、ビル設備の動作状態や動作モード、警報発生状態など、ビル設備の稼働データをクラウド上で一元管理。ビル管理者が遠隔から、設備稼働状況の確認をはじめ、電源のオンオフ切り替え、設備の設定変更などの操作が行えるようになる。管理者が遠隔地にいたり、複数棟を担ったりするケースでも、時間や場所に制限されず、モバイルPCやタブレットでビルのエネルギー使用状況を細かく確認し、BEMSデータの分析やZEBのエネルギー削減目標達成に向けたエネルギー運用の見直しに役立てられる。
機能拡充した両サービスの仕様は、ロボット移動支援サービスが1契約で建物数5棟まで。IoTゲートウェイ(IoTGW)数は3台/棟、ロボットは30台/棟、IDCは20台/IoTGW、扉は80扉/IoTGW。エネルギーマネジメントサービスは、1契約で300棟で、管理可能契約数は1棟3000点、1契約で1万点。
三菱電機では機能追加の狙いについて、少子高齢化などを背景に、ビル管理業界でも労働力不足が問題となっており、サービスロボットによる省人化のために自律的にビル内を移動できる環境が求められていたことを挙げる。また、ビルの設備管理では、ビルごとに管理者を常駐させるか、都度現地に管理者を派遣をする必要があり、人材確保や作業の効率化を目的に新たな機能を提供するに至ったとしている。
今後の展開として、ロボット移動支援サービスでは、光のアニメーションを用いたサインを床面に表示してロボットの接近を人に伝える「アニメーションライティング連携」、複数種・複数台数のロボットのスムーズな往来を実現する「ロボット管制」などを順次リリース。エネルギーマネジメントサービスでは、ビルのエネルギーをより効率的に運用できる「省エネサポート」を予定しているという。
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