年間のCO2排出量と冷暖房費を半減する新型「エアロテック」を発売、三菱地所ホーム製品動向

三菱地所ホームは、冷暖房効率と省エネ性能を上げた全館空調システム「エアロテック」の新バージョンを開発した。今後、同社では、「エアロテック Fit」を除き、2022年5月1日以降にエアロテックを納品する物件に新型を導入していく見通しだ。

» 2021年10月28日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 三菱地所ホームは、冷暖房効率と省エネ性能を高めた全館空調システム「エアロテック」の新型を2021年10月26日に発売した。

エネルギー消費効率が4.43にアップ

 エアロテックは、三菱地所ホームが1995年に発売したもので、累計採用棟数は1万1000棟を超え、室内機やルームコントローラー、吹き出し口、給排気口で構成される。エアロテックの作業手順は、給外気口から取り込んだ外気を室内機のフィルターにより清浄化し、冷暖房を行い、吹き出し口を介して建物の各部屋に送る。さらに、各部屋に送る空気の温度をルームコントローラーにより調整可能で、室内を循環した空気は室内機に回収され、一部は屋外に排出される。

全館空調システム「エアロテック」のイメージ

 新型は、環境に優しい「R32 冷媒」を採用している他、新たな室内機と室外機を搭載することで、エネルギー消費効率(COP)が従来品と比較して2.8アップとなる4.43に向上している。R32 冷媒は、オゾン層破壊係数がゼロでオゾンに悪影響を与えず、これまでの空調機で導入されていた「R410A 冷媒」と比べ地球温暖化係数※1は約3分の1低い675で環境に優しい。

※1 地球温暖化係数:対象のガスがCO2と比べ何倍の温室効果があるかを現す係数

三菱地所ホーム 技術開発部 環境技術開発グループ 村上剛志氏

 2021年10月26日に開催された記者発表会で、三菱地所ホーム 技術開発部 環境技術開発グループ 村上剛志氏は、「新型の室内機は、従来機と同じサイズにすることで、取り換えやすくしている。加えて、熱交換器の設計を最適化することで冷暖房効率を高め、内部通路の構造を変え送風ファンの消費エネルギーを削減した。一方、新型の室外機は、三菱電機製エアコンの最上位機種で採用されている高効率室外機で、冷暖房効率をアップしている」と話す。

新型の室内機のイメージ
室外機の現行品と(左)新型機種(右)

 続けて、「当社の試算によれば、新型のエアロテックを取り付けた住宅は、個別に配置されたエアコンの冷暖房を使用した一般住宅※2と比較し、CO2の年間排出量が約50%少ない。そして、次世代省エネルギー基準対応の高断熱・高気密住宅と比べ、年間冷暖房費は4万7000円安い5万1000円で、コストメリットもある」と補足した。

※2 一般住宅:ツーバイネクスト構法を採用した延べ床面積が149.05平方メートルの建物で、暖房は20度、冷房は27度にて24時間・365日運転した場合を想定

新型のランニングコストの削減効果
新型のCO2排出量の低減効果

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