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» 2021年09月30日 10時00分 公開

【第5回】道路画像のAI活用で何が分かるか、路面変状だけでなく冠水状態やスタッドレス装着も自動判定“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(5)(2/2 ページ)

[阿部雅人(土木学会 構造工学でのAI活用に関する研究小委員会 副委員長),BUILT]
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道路冠水や積雪の状態を車の撮影画像からAIで判定

 自動車から撮影した画像は、損傷以外の道路状態を把握するのにも利用できます。雪が降ったり路面が凍結したりすれば、通行規制や除雪などの手配が必要になりますし、降雨で道路が冠水することもあります。下図左は降雨による冠水、右は積雪の状態を走行する自動車で撮影したものです。こうした画像を用いて、AIで路面の状態を分類する研究が進められています※3

 仮に道路を日々行き交う一般自動車を活用することで、詳細な降雨や降雪の状態や分布が分かれば、従来に比べてきめ細かい交通規制や対策を迅速に行えるようになります。当然ながら、天候や昼夜によって画像の明るさや色調など画像の特徴はかなり変動しますが、多くのデータを収集して学習することで、AIの汎用性が高められます。

 また、走行時に撮影した画像のみならず、道路監視用のライブカメラなどの固定カメラを利用して、画像から気象条件や路面状態を把握することも可能です。定点での観測になりますので、周囲の条件などが一定ですから、より高い精度で判定できる可能性があります。ライブカメラ画像にAIによる回帰を適用して、積雪深を求める研究も報告されています※4

冠水画像(左)、積雪画像(右)※3,4

※3 出典:李瑾,阿部雅人,杉崎光一,中村一樹,上石勲共著「AI技術を活用した冬季道路路面判別の効率化」AI・データサイエンス論文集1巻J1号p210〜216/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2020年

※4 出典:阿部雅人,杉崎光一,中村一樹,上石勲共著「深層学習を利用した沿線カメラ画像による積雪深評価方法の検討」AI・データサイエンス論文集1巻J1号p217〜220/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2020年

 道路の安全な走行のためには、道路側の状態だけではなく、自動車側の状態も重要です。例えば降雪時には、適切なタイヤを装着する必要があります。下図は、スタッドレスタイヤを装着しているかどうかを画像から判定するAIです。こうしたAIを導入することで、従来人手で行っていた降雪時や凍結時に通行規制をかけるかどうかの判断が効率化されています※5

スタッドレス(左)、ノーマルタイヤの判別(右)※5

※5 出典:林詳悟,川西弘一,橋本和明,氏家勲,全邦釘共著「AIを用いた冬用タイヤ自動判別システムの開発」AI・データサイエンス論文集1巻J1号p200〜209/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2020年

 道路の安全性や利用に関わる問題は、身近でかつニーズが明確であり、画像が撮影しやすいこともあって、AIによる画像判定が活発に開発されており、実務への導入も進みつつあります。道路の延長も膨大ですし、自動車の総数も多いですから、AIによる効率化の効果は大きいと考えられ、DXの対象としても有望です。

 今後、自動運転などの技術の進展によって、自動車に搭載されるセンサーも多様化し、ネットワーク化することで、得られるデータも質・量ともに増大していくでしょう。そのため、これまでにないアイデアやユースケースが創出され、将来にわたる発展が期待される領域といえます。

著者Profile

阿部 雅人/Masato Abe

ベイシスコンサルティング 研究開発室 チーフリサーチャー。防災科学技術研究所 客員研究員。土木学会 構造工学委員会 構造工学でのAI活用に関する研究小委員会 副委員長、インフラメンテナンス国民会議 実行委員を務める。近著に、「構造物のモニタリング技術」(日本鋼構造協会編/コロナ社)がある。

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