コマツは、「第3回 建設・測量生産性向上展」で、i-Constructionを実現する「スマートコンストラクション(SMART CONSTRUCTION)」を構成するICTソリューション群の展示を行った。会場ではとくに、土木工事の発注要件にICT施工が盛り込まれることが増えつつある現状を受け、メーカーを問わず現在利用中の旧型建機をICT化するための「スマートコンストラクションレトロフィットキット」に、来場者の関心が寄せられた。
小松製作所(コマツ)は1921年の創業から数え、2021年に創立100周年を迎えた。同社は、建設業界中では早い時期からICT化に取り組んできた。「第3回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2021年5月12〜14日、幕張メッセ)の展示では、100周年の節目をアピールしつつ、ICT施工の中心的なコンセプトである施工ソリューション「スマートコンストラクション(SMART CONSTRUCTION)」の紹介に多くのスペースを割いた。
もちろん、ICTを活用した安全性や効率化の向上は、ソフトウェア導入だけで実現できるものではない。展示会場では、建機メーカーとして長年の実績を持つコマツらしく、安全な作業に寄与する人検知機能や熟練者の操作を簡単に再現する「インテリジェントマシンコントロール」機能を搭載した最新のICT油圧ショベルを披露した。
スマートコンストラクションは、現場状況と設計や計画上のデータを同期させ、施工の最適化を行うコマツ独自のi-Constructionを目指すコンセプト。現場のデータは、作業中のICT建機や各種IoTセンサー、GPSなどで取得。設計や施工計画のデータと比較することで、精度の高い工事が無駄なく行えるようにする。
コマツのスマートコンストラクションは、土木分野の各工程に応じた複数のソリューションで構成されている。なかでも多くの入場者の注目を集めていたのが、「ダッシュボード(Dashboard)」や「シミュレーション(Simulation)」。ダッシュボードはスマートコンストラクションの中心的機能で、ICT土工を実現する各種データが集まるハブとなる。一方のシミュレーションは、2021年中のリリースを目指し、鋭意開発中とのこと。
ダッシュボードでは、工事現場の状況をデジタルツイン化して3Dモデルで表示する。ベースとなる地形データには、Googleの衛星写真や地形データなどいくつかのデータが用意されており、目的に応じて選択できる。ダッシュボードでは、ベース上に施工図面などのデータを重ね、どの場所でどのような工事計画が進められているかを視覚化できる。
ダッシュボードが対応するのは、現場における盛土/切土の土量、面積、距離などに関する情報だ。施工の管理に必要なこれらを可視化することで、工事計画が無駄なく作成または調整できるようになる。
盛土/切土に関しては、設計図面との比較により、盛土部分と切土部分を色別に表示できる。また、色の濃淡によって、どの程度の盛土/切土が必要かを視覚的に理解できるようになっている。
ダッシュボードが扱う工事の内容や進捗状況は、現場で稼働しているICT建機のセンサーや定期的に飛行させるドローンなどから取得して時系列で管理できる。過去の工事履歴は、画面下のスライダーを操作して表示することで、管理者は工事進捗を総合的に把握できるようになる。工事計画と実際の進捗を比較して、無駄のない施工を行うための大きな助けとなるだろう。
また、ダッシュボードでは画面上に注釈や線などを入れられる。そのため、作業に関する指示やダンプなどの経路表示としても使え、現場と共有すれば、より安全な現場環境を整えられる。
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