連載
» 2021年09月30日 10時00分 公開

【第5回】道路画像のAI活用で何が分かるか、路面変状だけでなく冠水状態やスタッドレス装着も自動判定“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(5)(1/2 ページ)

ここ数年、国が旗振り役となって推進しているi-Constructionの進捗により、土木分野でのAI活用が進んでいる。本連載では、「土木学会 構造工学でのAI活用に関する研究小委員会」で副委員長を務める阿部雅人氏が、AIをどのように使いこなしていくかの観点から、AIと土木の現状や課題、その先の将来ビジョンについて考えていきます。連載第5回は、近年、活発に研究が進められている車にカメラを取り付けて撮影した路面画像のAI解析で、どのような利活用が考えられるかを解説していきます。

[阿部雅人(土木学会 構造工学でのAI活用に関する研究小委員会 副委員長),BUILT]

 道路は誰もが毎日使う身近なものですが、日々の利用に伴ってひび割れや凹凸などの劣化が進みます。また、ひどい場合には陥没などが発生し、安全な通行の妨げになる場合もあります。そこで、いち早く劣化や異常を発見し、補修などの対策を施すことが求められます。

 道路路面の凸凹については、自動車の乗り心地を評価する定量的な指標があります。しかし、専用の計測器が必要となるので、頻繁なモニタリングは必ずしも行われていません。道路管理者によるパトロール/巡回目視や市民からの通報を受けての対応など、人手に頼る方法に依存しているのが実態です。

 そのため、自動車にカメラなどを設置して走行時の路面画像を取得し、AIを適用して損傷を見つける研究開発が盛んに行われています。その際、画像が撮影された位置が分かるように、GPSなどによる位置情報を同期して計測するのが一般的です。

 物体検出のAIは、走行時の画像に適用することで、ひび割れなどの損傷を検出することが可能です。下図上は、バウンディングボックスでひび割れを検出した例です※1。図のようにAIで損傷を検知し、記録することで、効率的に道路の状態を評価できます。道路には、マンホールや継ぎ目など、損傷や異常ではないけれど通常の部分と異なる箇所もあり、それらも損傷として検出してしまうと誤検出になってしまいます。そうした問題については、下図下のように、検出に分類を採り入れて学習していくことで、損傷とは別のものと検出することができるようになります。

ひび割れの検出例※1
マンホールの検出例※1

※1 出典:志賀純貴,江本久雄,馬場那仰,吉武俊章共著「AIによる変状抽出機能の舗装路面簡易評価システムへの適用」AI・データサイエンス論文集1巻J1号p180〜189/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2020年

 舗装の画像にAIを適用する別の方法としては、画像をます目状に分割し、それぞれに分類を適用して、損傷の有無や種類を判別することも試行されています。下図は、4×4に画像を分割してひび割れの有無を分類した例です。

 赤色の四角で囲われた領域が、AIと人の目視の両方でひび割れがあると判定した領域。緑色はAIのみ、黄色は目視のみでひび割れがあると判定した領域です。赤が正解、緑が誤検出、黄色が未検出(見落とし)に相当します。この表示方法で、AI判定の正誤や誤っている場合の誤り方が一目で判明しますので、誤った判定を再度学習して精度を上げることが試みられています※2

元画像(左)、検出画像(右)※2

※2 出典:山根達郎,全邦釘,山根達郎共著「苦手タイプ改善型ディープラーニングを用いたアスファルト舗装のひび割れ自動検出」AI・データサイエンス論文集1巻J1号p168〜179/「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)」/2020年

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.