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» 2021年09月09日 09時00分 公開

水耕栽培の培養液向けにプラズマ殺菌技術を確立、西松建設と東北大学産業動向

西松建設は、東北大学との共同研究で、施設園芸や植物工場の水耕栽培で使用される培養液の衛生管理方法として、プラズマにより培養液中に存在する微生物(かび)の増殖を抑制する殺菌技術を開発した。今後は、今回の技術を生かして、植物工場の水耕栽培における安定生産と生産性向上に役立つ技術開発を推進する。

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 西松建設は、東北大学との共同研究で、施設園芸や植物工場の水耕栽培で使用される培養液の衛生管理方法として、プラズマにより培養液中に存在する微生物(かび)の増殖を抑制する技術を確立したことを2021年3月2日に発表した。

培養液中のかび数を100分の1以下まで抑制

 施設園芸における栽培方式の1つである水耕栽培は、窒素やリン、カリウムといった植物の栄養成分を溶け込ませた水「培養液」に植物の根を浸して栽培するため、培養液中における微生物の発生と増殖が課題となっている。かびの中には、根に付着し腐敗させる種類もあり、場合によっては植物が枯死に至ることもある。

 また、同一の培養液で多くの植物を栽培するケースでは、かびが増殖すると病害が多くの植物へ拡散し、安定した生産が困難になる。加えて、培養液中のかびは培養液に浸っている根だけでなく、飛散して葉に付着することで葉へ病害を発生させることも判明している。そのため、培養液中におけるかびの増殖を抑制することは、病害の予防で必要と考えられている。

 しかし、培養液中に直接添加できる農薬は少なく、かびの殺菌に効果のある紫外線やオゾンなどを用いた技術もあるが、栄養成分の沈殿や強力な酸化効果による作物の生育不良といった問題がある。

 以上のことから、栄養成分の沈殿や作物の生育に影響を与えずに培養液中のかびを殺菌する技術の確立が期待されていた。

 そこで、西松建設と東北大学は、プラズマによる殺菌技術を開発した。今回の技術では、かびが増殖した培養液の中にプラズマを照射し、酸化力の高い活性種を発生させることで、水耕栽培で主に問題視されている根腐病のかびが増殖することを抑えられることを確かめた。具体的には、培養液中のかび数を100分の1以下まで抑制することを確認している。

プラズマの異なる照射条件が培養液中のかびに及ぼす影響 出典:西松建設プレスリリース

 プラズマ照射により培養液中に発生する活性種の1つである過酸化水素は、高濃度(1000マイクロメートル以上)で培養液中に存在すると植物の根に接触し、生育を抑える。培養液中におけるかびの増殖抑制効果が得られた条件では、過酸化水素の濃度が植物の生育抑制に影響が出る5分の1の200マイクロメートルとなり、植物生育への影響は少ないことが分かっている。

プラズマの異なる照射条件が液中の活性種(過酸化水素)の濃度に及ぼす影響 出典:西松建設プレスリリース

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