除菌に有効な室内空間向け噴霧器、NSFエンゲージメント第5回 住宅・ビル・施設 Week

NSFエンゲージメントは、ベンチャー企業の空間除菌が開発した「クロラス酸水を用いた噴霧器」のビジネスモデル構築を進めるとともに、2021年1月の正式発売に向けて積極的な提案を行っている。

» 2020年12月09日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 NSFエンゲージメントは、住宅、ビル、商業・公共施設など、あらゆる建築物を対象とした建築総合展「第5回 住宅・ビル・施設 Week」(会期:2020年12月2〜4日、東京ビッグサイト)内の「第5回 スマートビルディング EXPO」に出展し、クロラス酸水(亜塩素酸水)と専用噴霧器「DVAC-1500」を用いた「空間除菌システム」をPRした。

金属腐食性が低く機械を傷めない

 NSFエンゲージメントは、NTTファシリティーズとソニーの合弁会社として、2019年5月に発足した会社で、ソニーへの総務サービスの提供が主要事業だった。

 2020年4月に、政府が緊急事態宣言を発令した際に、出社する社員や現場で作業する従業員をウイルスや細菌から守るため、ベンチャー企業空間除菌製の「クロラス酸水を用いた噴霧器」をNSFエンゲージメントの社内に導入。その後、空間除菌と協業して、同噴霧器のビジネスモデル構築やソリューションの展開を手掛ける新事業をスタートさせた。

専用噴霧器「DVAC-1500」

 今回、ブースで披露した空間除菌システムは、優れた除菌力を備えるとされるクロラス酸水を専用の噴霧器で微細なミストにして、環境や目的に合わせて噴出することで、空間に浮遊するウイルスや細菌、カビ類を除菌する。

 クロラス酸水は、クロラス酸を主成分にした食品添加物殺菌料の一つで、広く利用されている次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムとは別の物質。ぬれている場所や汚れている箇所でも除菌効果を発揮するという。金属腐食性と脱色性が少なく、メラニン樹脂も変色せず、アルコールのように手が荒れず、塩素臭もほとんど無い。

クロラス酸水の特性

 「食品工場ではこれまで、細菌への対策で次亜塩素酸水を吐出する機械を配置したことで、次亜塩素酸水により製造機械が壊れるというケースがあった。しかし、クロラス酸水の噴霧で製造機械を故障させる事例は無いため、大手食品メーカーや印刷会社、自動車会社がクロラス酸水を用いた除菌システムを工場に導入している」(NSFエンゲージメントの担当者)。

 北里環境科学センターが、クロラス酸水の噴霧による浮遊菌やウイルス、カビの抑制を調査した結果、濃度200ppmのクロラス酸水を10分間噴霧することで、黄色ブドウ球菌は45万個から150個に減少し、大腸菌ファージは2万8000個あったが100個に減った。また、濃度200ppmのクロラス酸水を15分間噴霧で間欠運転し1時間ごとに計測したところ、6.1万個あった青カビは1時間後に1.9万個になり、3時間後には10個まで減り、5時間後には2個以下になった。

「Zepp Haneda」でのクロラス酸水の噴霧ユニットの効果検証

 また、NSFエンゲージメント、空間除菌、東洋熱工業、新晃熱工業の4社は、床面積約1000平方メートルで天井高10数メートルのライブハウス「Zepp Haneda」に取り付けられている空調機に、クロラス酸水の噴霧ユニットを後付けして、除菌効果を測定している。噴霧ユニットを搭載した空調機で、クロラス酸水を1時間噴霧すると、もともとあった細菌の半分を除菌して、2時間後には90%の細菌が無くなったという。

 クロラス酸水を噴出する専用噴霧機は、100平方メートルのフロアを対象にしており、サイズは250(幅)×250(奥行き)×875(高さ)ミリで、タンク容量は10リットル。消費電力はAC100ボルトで、噴霧動作時は200ワット。価格は19万8000円で、発売は2021年1月を予定している。専用噴霧機は薬剤と補充作業込みのサブスクリプションサービスでの提供も見込んでおり、クロラス酸水の価格は1リットル370円(いずれも税別)。

【訂正】:初出時、既出の記事で誤解を招く表現があったため訂正・加筆しました。上記記事はすでに訂正済みです(2020年12月9日11時20分)

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