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» 2021年05月23日 07時00分 公開

大成建設が“生産工場”のエネルギー収支を評価する「ZEF」を定義、第1号はOKI本庄工場ZEB

大成建設は、工場全体で年間の1次エネルギー消費量を適正に評価する独自基準「ZEF」を定義した。対象の設備は、建築物のエネルギー消費に関係しない生産設備を除く、ZEBでは対象外となっていた空調・換気・照明・給湯・昇降機など工場全体の設備。大成建設では、ZEFの段階的評価を用いて、省エネや創エネを組み合わせることで、生産工場でも年間の1次エネルギー収支ゼロを目指していく。

[BUILT]

 大成建設は2021年5月14日、これまでZEB化が難しいとされていたエネルギー多消費施設の生産工場で、年間に消費する1次エネルギー収支ゼロを目指す工場を「ZEF」(Net Zero Energy Factory)と定義し、このほど工場全体を対象に適正なエネルギー評価を可能にした。評価では、ZEB評価対象外だった工場内の生産エリアでの空調・換気・照明・給湯・昇降機などを対象に加え、工場内で消費されるエネルギー量を適正に評価することができるという。

生産エリア内まで評価対象を拡げ、エネルギー消費量を適正に評価

ZEFの定義とZEFチャート 出典:大成建設

 経済産業省は、2020年12月25日に公表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に関する政策の中で、CO2削減に向けた実施例としてZEB(ゼロエネルギービル)やZEH(ゼロエネルギーハウス)を明記している。

 これを受けて大成建設では、2014年5月に業界に先駆け「ZEB実証棟」を完成させ、2015年5月から現在まで運用段階での『ZEB』を達成。2014年以降には、多数の建築物の新築・改修にZEB技術を導入し、その普及拡大に取り組んできた。

 一方、エネルギー多消費施設である生産工場でのゼロエネルギー化の取り組みでは、従来の建築物省エネ法に基づくZEB評価の対象範囲が事務室や倉庫などに限られ、工場内の大部分を占める生産エリアでの空調、換気、照明設備などのエネルギー消費が評価対象外とされていた。そのため、生産エリアが大部分を占める工場全体での1次エネルギー消費量の適正な評価が難しい状況となっていた。

ZEBとZEF評価対象範囲の違い 出典:大成建設

 大成建設は独自に、建築物のエネルギー消費に関係のない生産設備を除く工場全体の設備を評価対象として、ZEFを新たに定義。ZEFとは、工場全体の空調・換気・照明設備のスマート化などによる省エネルギー及び再生可能エネルギー導入による創エネルギーにより、生産工場に必要な年間の1次エネルギー収支をゼロにすることを目指した工場。

 主な特徴として、ZEF評価では、評価対象範囲として生産エリアを含めた工場全体の延床面積まで拡大。さらに、評価対象設備は、生産設備を除き、従来評価と同じ工場内の事務所や倉庫の設備だけでなく、生産エリアでの空調、換気、照明設備などにまで対象設備をひろげることで、工場全体のエネルギー消費量を適正に評価できるようになった。

 評価では、工場内の評価対象範囲と設備から得られたエネルギー消費量の評価結果を基に、独自に作成したZEFチャートを用いて評価レベルを提示する。そのため、エネルギー削減目標値の立案が容易で、評価レベルに応じた投資計画などの検討に役立てられる。

 ZEF第1号プロジェクトとしては、現在、設計中のOKI本庄工場でZEFの実現を目指す。OKIは同工場をローカル5Gの活用などで、「Manufacturing DX(マニュファクチュアリング・デジタルトランスフォーメーション)」を具現化するスマート工場と位置付けている。大成建設は開発済みの独自技術で、生産稼働状況によって空調や換気、照明を制御して省エネを図る「T-Factory NEXT」、屋根には太陽光発電設備を導入することにより、設計段階で「ZEF(Nearly ZEF)」を達成。また、エネルギーサポートセンターで、クラウドシステムを用いて工場内のエネルギーデータを遠隔監視・分析することで、運用段階での『ZEF』認定取得も見据えている。

OKI本庄工場外観パース(イメージ) 出典:大成建設
OKI本庄工場に導入する大成建設の独自技術 出典:大成建設

 今後、大成建設は生産工場でのカーボンニュートラルを加速させるべく、ZEFの適用を推進するとともに、創エネルギー、蓄エネルギーの最適化技術やCO2を発生しない電源、工場木質化などを積極的に採用していく。こうした取り組みを総称して、「グリーンZEF」とし、顧客に提案を行い、普及展開を図るとしている。

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