大成建設は、ロボットを活用した機械化施工の導入を進めるとともに、社員の健康や環境に配慮した建物を建設し、ZEBやWELL認証の取得を進めている。
大成建設 執行役員 技術センター長 長島一郎氏は、リード エグジビション ジャパン主催の建設全般を対象にした総合展「住宅・ビル・施設 Week 2019」(会期:2019年12月11〜13日、東京ビッグサイト 青海展示棟)で、「IoTの活用による人を中心としたスマートビルの実現」と題した講演を行った。
講演では、機械化施工やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)、WELL Building Standard「WELL認証」に向けた取り組みを紹介した。
冒頭、長島氏は、「1994年時点では、鉄骨建入レーザー自動計測システムやハット梁(はり)挙動計測システム、3次元CAD、セルフビルディングシステム、自動搬送システムなどを搭載した“T-UP工法”という機械化施工に取り組んでいたが、現在はロボットを活用した機械化施工に取り組んでいる」と語った上で、コンクリート床仕上げロボット「T-iROBO Slab Finisher」や自動鉄筋結束ロボット「T-iROBO Rebar」を紹介した。
T-iROBO Slab Finisherは2016年に開発した製品で、土間工が遠隔操作して、コンクリート床の仕上げ作業を半自動化し、作業負担が軽減する。
T-iROBO Rebarは開発中のマシンで、搭載された2種類のレーザセンサーを用いて、鉄筋交差部と周辺障害物を同時に検知。ロボットが適切な位置に移動し、鉄筋結束機を用いて正確に鉄筋の結束を繰り返す。
「作業支援ロボットを開発する際には、事前に作業強度の定量評価を行い、各業務環境に適した仕様にしている。作業強度は肉体疲労や神経疲労の指標を使用して計算する」(長島氏)。
2017年には、コンクリート吹き付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO Remote Shotcreting」を開発し、建設作業の遠隔操作化を前進させた。T-iROBO Remote Shotcretingは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や魚眼レンズ付きカメラ2台、カメラボックス、カメラボックスが移動可能な走行レールおよびLED投光器で構成されている。
HMDと魚眼レンズ付きカメラ2台を組み合せることで、吹付機操作者が切羽から距離をとっても、切羽近くに居るような遠近感・臨場感を体感して、吹き付け作業を行え、通常のカメラ単体では困難な吹付厚さの管理に取り組める。
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