新オフィスでは、これまでの社屋に比べてコミュニケーションを意識した施策を積極的に導入した。共用スペースの面積割合を移転前の1割から3割に増やし、文具や雑誌などを共有して人が自然に集まる場「マグネットスペース」を設け、偶発的なコミュニケーションが生まれやすくする環境を整えた。ちなみに、複数人でシェアする文具や備品は、紫外線で殺菌が行われている。
また、特定の人物を見つけるのが難しいというフリーアドレスの問題を解決するために、移転前から導入していた位置情報システムを引き続き活用している。位置情報システムは、それぞれの社員が現在いる場所の他、指定したエリアの混雑度も可視化するため、3密の回避にも効果的だ。
オフィス内は、フリースペースで会議を開くことを想定したレイアウトとし、周囲を気にせずにWeb会議ができる個室ブース「テレキューブ」も実装した。テレキューブは、フルクローズド型のワークブースで、デスクワークに十分なスペースを備え、50秒で内部の空気が入れ替わるようになっている。
竹本氏は、「オフィスは、出社する従業員同士が価値のあるコミュニケーションをとりやすい環境なことが望ましい。そのために、新本社では、フリーアドレスを採用し、憩いの場となるオープンスペースと人が自然と集まるマグネットスペースを整備した。このようにオフィス機能を強化することが、組織の求心力を高めるために、これから重要になるだろう」と述べた。
三菱地所では、センターオフィスの目標を、機能を高度化することで、働き方を多様化し、最終的に生産性の向上を果たすこととしている。そのため、多様な働き方を支援するサービスとして、テレキューブやシェアオフィス「xLINK(クロスリンク)」、働きながら休暇をとる過ごし方「ワーケーション」といった3つのサービスを対外的に提供している。
テレキューブに関しては、将来はオフィス内や駅、空港、商業施設などに合計で1000台設置することを目指し、現在、鉄道会社をはじめとする事業者との連携を進めている。
xLINKは、三菱地所が、大丸有エリアで展開しているシェアオフィスで、企業が本社やセンターオフィスのワークプレースを一時的に増やしたい時に役立つ。一方でワーケーションについて竹本氏は、「当社のワーケーションサービスは、ロケーション、モチベーション、コミュニケーション、イノベーションなど、さまざまな意味合いを持たせたもので、創造性を刺激する非日常的な空間をワークプレースとして利用者に提供する。ワーケーション用の施設は長野県の軽井沢町と和歌山県の白浜町にある」とコメントした。
最後に竹中氏は、「当社が目指すワークプレースは、組織をつなぐハブとして機能し、高度化したセンターオフィスと多様な働き方をサポートするものだ。オフィス不要論も一時期あったが、決してオフィスが不要になることはない。多様な働き方をコアとして接続し、機能を高度化した新しいセンターオフィスが必要になってくる」と力説した。
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