大林組は、BIMと連携した設備設計支援システムの最新シリーズ「BIMZONE-Σ-2020」を開発した。最新バージョンでは、設備設計の段階からエネルギーとコストを考慮した最適な設計が自動で行えるようになった。
大林組は、BIMと連携した空調設計支援システム「BIMZONE-Σ」シリーズに、1次エネルギー消費量とコストを算出する機能を追加した新バージョン「BIMZONE-Σ-2020」を2020年12月に開発した。BIMZONE-Σ-2020は、設計の初期段階からエネルギー計算と概算コスト算定が効率的に行えるため、環境負荷と経済性を考慮した最適な設計につながる。
BIMZONE-Σは、BIMの情報や室用途ごとの空調設計条件データベースを活用することで、建築設備技術者協会が公開した熱負荷計算プログラム「NewHASP/ACLD」での熱負荷計算機能(BIM-LOAD)を備えている。また、建築物省エネ法に基づく、1次エネルギー消費量の計算が可能なツール「WEBPRO」で、標準入力法に必要な部屋ごとの外壁・窓面積データを、BIMから自動で入力することもできる。
今回開発したBIMZONE-Σ-2020は、標準入力法で必要な設備機器仕様を決定するにあたり、空調計算・換気計算・照度計算を自動で実施するとともに、機器の選定が可能な機能(BIM-MULTI、BIM-VENT、BIM-LIGHT)を追加。選んだ機器の仕様は、システムに組み込まれた「WEBPRO-API」に自動入力(BIM-ENE1)されることで、標準入力法による1次エネルギー消費量を計算。また、選択した空調機器や照明器具の概算コストを算出する機能も拡充したことで、エネルギー計算とコスト算定を同時に行えようになった。
新しく搭載された機能のうち、個別空調機選定支援機能のBIM-MULTIは、BIM-LOADを通じて計算された熱負荷計算結果を用い、ゾーンごとに分けた熱負荷集計表を作成することで、対応した空調機器が選べる。機器と配管経路は、平面図上に自動でレイアウトされるため、空調設計が今まで以上に簡易化された。
換気排煙設計支援機能のBIM-VENTは、BIMから取得した室面積と天井高、室用途ごとの設計条件データベースから必要換気量を求め、設計換気計算書と機器選定表を作成。換気ゾーニング、換気経路・換気方向を示した複雑なエアバランス経路図にも対応し、計算した換気量がエアバランス経路図上にリアルタイムに集計・表示され、エアバランスと給排気ルートを迅速に検討することが可能になる。
照明設計支援機能のBIM-LIGHTは、BIMから取得した室面積・形状、器具データをもとに照度計算・輝度計算を行い、計算結果を確認しながら器具を選定。器具データは、標準器具データやメーカーが提供する器具検索エンジンをシステムに組み込んでいるため、最新の製品に対応している。選定後は、器具を図上に自動プロットして、リアルタイムに台数を決められる。
標準入力法での1次エネルギーを計算するBIM-ENE1では、BIMの情報に加え、選定した機器と器具仕様からWEBPRO用の入力データを自動作成。WEBPRO-APIを通じて入力データのインプットから1次エネルギー消費量のアウトプットまでを一元化したことで、標準入力法による1次エネルギー評価がより効率的にできるようになる。
さらに、概算機能では、BIM-MULTI、BIM-LIGHTで選定した機器および器具仕様から個別空調機・空調ダクト・冷媒配管・照明器具などの工事費の概算コストを求める。
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