新築戸建て住宅向けに20年間電気代無料のサービスを提供開始、エネファント導入事例(1/2 ページ)

エネファントはこのほど、地方への定住・移住促進事業として、新築戸建て住宅向けに、20年間電気代無料のサービス「フリエネ」の提供を開始した。

» 2020年12月24日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 エネファントは2020年12月15日、愛岐木材住建とともに、岐阜県多治見市の多治見市役所で、20年間電気代無料のサービス「フリエネ」に関する共同記者会見を行った。

 会場では、エネファント 代表取締役 磯崎※1顕三氏や愛岐木材住建 代表取締役 大木規史氏がフリエネのサービス内容や各社の役割を紹介した他、多治見市 市長 古川雅典氏はフリエネへの思いを明かした。

※1 磯崎氏の崎は正確には可の上部が立が正しい表記

2021年度のフリエネ導入目標は30棟

 エネファントは、2011年に設立したエネルギーベンチャーで、小売電力事業や太陽発電システムとエネルギー商材の販売、施工・メンテナンス事業などを行っている。

 同社が提供するフリエネは、新築戸建て住宅を対象にした新サービスで、パナソニック ライフソリューションズ(LS)社製の太陽光発電パネルや家庭用蓄電池、電気給湯器「エコキュート」の設置を無料で提供する他、月間の電気使用料が60kwh(キロワットアワー)までなら、20年間の電気代が無料で、各設備のメンテナンスも無償で対応する。施主がフリエネを利用するのに必要な費用は、各設備に対する遠隔の見守りとサポートサービスの使用料である2980円(税別)のみ。

 フリエネの収益は、新築戸建て物件に取り付けた太陽光発電パネルで発電された電力の売電と工務店から得られる広告収入の2つで構成される。また、遠隔監視システムで新築の戸建て住宅に取り付けた太陽光発電パネルの電力を適切に給湯や蓄電の活用するとともに、売電することで、電柱からの買電を最小化し電気代を減らす。

エネファント 代表取締役 磯崎顕三氏

 エネファントの磯崎氏は、「多治見市の新築戸建て住宅にフリエネを導入していくことで、同市を国内で最も電気代の安い街とし、同市への住民の定住や移住、企業の誘致を増やして、地域を活性化することを目指している」とフリエネの目標を説明した。

 続けて、「2020年度はフリエネを採用した新築戸建て住宅“フリーエネルギーハウス”の10棟完工を目指しており、2021年度は30棟の新築戸建て住宅にフリエネを導入することを目標にしている。また、多治見市以外の市町村への展開や既築物件向けのフリエネを開発することも視野に入れている」と補足した。

愛岐木材住建 代表取締役 大木規史氏

 フリーエネルギーハウスの設計・施工と販売を手掛ける工務店の愛岐木材住建は、1978年に設立した会社で、建築工事業務や不動産業務、保険代理業務を主要事業としている。愛岐木材住建の大木氏は、「エネファントに、日本で最も電気代が安い街を実現可能なフリエネの事業内容について聞かせてもらい、フリエネの事業に取り組みたいと思い協業した」とエネファントとの協業の経緯について説明した。

愛岐木材住建 代表取締役 大木規史氏

 多治見市の古川氏は、「フリエネは、太陽光発電パネルの活用により環境に配慮しており、国際連合が提唱する持続可能な開発目標“SDGs”の思想に合致し、20年間の電気代が無料な点が素晴らしく、多治見市では同サービスを応援していく。具体的には、市のホームページ(HP)で、“日本一暑いが、日本一電気代が安い街”というキャッチコピーを表示し、他の市町村からの多治見市への移住と定住を促す。多治見市へ移住して欲しいメインターゲット層は、愛知県の名古屋市や豊田市、犬山市に住む30〜40代の子育て世代を想定している」とエネファントと愛岐木材住建にエールを送った。

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