NECは、マンションの住民がスマートフォンの専用アプリに顔データを登録することで、専用デバイスの顔認証でマンションのエントランスと自宅のドアを解錠できるクラウドサービスを2021年度にリリースする。
NECは、住宅、ビル、商業・公共施設など、あらゆる建築物を対象とした建築総合展「第5回 住宅・ビル・施設 Week」(会期:2020年12月2〜4日、東京ビッグサイト)内の「第1回 不動産テック EXPO」に出展し、顔認証システムとスマートフォンの専用アプリケーションを組み合わせたクラウドサービスを披露した。
新サービスは、2021年度に提供を開始する予定で、マンションの住民がスマートフォンの専用アプリに顔のデータを登録することで、専用デバイスの顔認証によって、マンションのエントランスと住居のドアを解錠できるクラウドサービス。
採用した顔認証技術は、米国立標準技術研究所(NIST)が主催するベンチマークで最も高い評価を5回獲得しており、マスクを着用した状態での顔認証に応じ、本人の写真でも成りすまし認証を防ぐなど高いセキュリティ性能を備えている。NECでは、顔認証の他、虹彩認証や指紋認証、指静脈認証、声認証などの技術を保有しており、オプションとして虹彩認証を設けることも検討している。
NECの担当者は、「専用アプリでは、日時を設定して、宅配会社や家事代行会社、掃除会社などのスタッフにも、顔認証のワンタイムキーを発行できる。宅配会社に顔認証のワンタイムキーを発行すれば、手間のかかる再配達の防止につながる。また、顔認証システムを用いた入退場の履歴は、専用アプリを使用する家族間などで共有可能なため、家族の帰宅状況なども専用アプリを介して確かめられる。さらに、専用アプリでマンション内のミーティングルームやワークスペースなどの予約も行える」と活用方法を説明した。
新サービスの導入先は、新築のマンションを対象にしており、主にディベロッパーへ提案していく。将来的には、既存賃貸マンションへの導入も検討している。
今後の展開について、NECの担当者は、「ディベロッパーは、マンションだけでなく、商業施設との複合開発やスーパーマーケット、薬局など、周辺商店も巻き込んだ大規模都市開発を行うケースが多々ある。こういった点を踏まえて、今回の新サービスは、マンション付近にある店舗での買い物を顔認証で決済し、毎月の共益費などと合わせて月末にまとめて支払うようなビジネスモデルを想定している。また、サービスを利用することで貯まるポイントは、マンションの共益費に還元され、修繕費などに使えるようにするなど、多くのマンション管理組合が頭を抱えている修繕積立金の不足といった社会課題の解決に貢献していきたい」と説明した。
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