建物運用のデジタル変革を支援する建物OS、清水建設が商品化BAS

清水建設は、ビル内のIoT機器を一元的に制御するためのOS開発を2020年内にも完了させる。実用化すれば、ビル管理に用いるロボットや入退場管理システム、照明、空調などのアプリケーション連携がプログラムレスで行えるようになるという。

» 2020年10月27日 10時00分 公開
[BUILT]

 清水建設は2020年10月12日、建物運用のDX(Digital Transformation)を支援する建物オペレーティングシステム「DX-Core」の開発を年内にも完了し、顧客への実装提案を開始することを明らかにした。

延べ1万m2で導入費用1億円ほど

 DX-Coreは、建物内の建築設備やIoTデバイス、各種アプリケーションの相互連携を容易にする建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた基本ソフトウェア。新築、既存を問わず実装でき、新築の場合は、DX-Coreサーバと建物管理システム、セキュリティシステム、IoTデバイス、ネットワークインフラ、サービスアプリケーションを顧客ニーズに合わせてパッケージ化して提供する。実装費用は、延べ床面積1万平方メートル規模の新築オフィスビルで、各種システムやデバイス、アプリケーションを含めて1〜2億円程度となる見込み。

「DX-Core」の活用イメージ 出典:清水建設

 高度な建物オペレーションを展開するためには、空調・EV(エレベーター)などの設備機器からビル内を自動走行するロボットに至るまで、多種多様な機器類の制御アプリケーションを連携させる必要がある。例えば、ロボットの自動走行は、ロボットとEV、自動扉が連携しなければならない。だが、アプリケーション間の連携は、設備機器・デバイスごとに個別でプログラミングしなければならないケースが多く、先進的な建物サービスの実装を妨げる要因となっていた。

 DX-Coreの特徴は、建物運用にかかわる設備機器やアプリケーション間の連携をメーカーの違いに関わらずビジュアルツールで自在に図れる点。ビジュアルツールには、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を介してDX-Coreと接続された各種アプリケーションのアイコンが一覧表示され、マウス操作でアイコン同士を連結するだけで、アプリケーション間のデータ連携が可能になる。

 また、データ入出力などの仕様も、プログラムレスで設定できるため、新規サービスの導入やサービス機能のアップデートを迅速かつ柔軟に行える。

 さらに、設備機器やセンサー、カメラ、ロボットなどが収集する多種多様な動的データを蓄積・解析し、エネルギー利用の効率化や設備運転の最適化、各種サービスの改善にフィードバックして役立てられる。

 既に、自社施設として建設中の大規模賃貸オフィスビル「メブクス豊洲」、東北支店新社屋、北陸支店新社屋へのDX-Coreの実装が決定している。メブクス豊洲では、館内施設情報提供サービス、会議室予約サービス、顔認証ウォークスルー、車両検知サービス、ロボット館内配送サービスなど、テナント企業や利用者の生産性・利便性向上に寄与する先進的サービスを提供していく。

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