安藤ハザマとイクシスは、大空間構造物の床面を対象に、ひび割れ検査を自動化する自律走行式ひび割れ検査ロボットの開発を進めており、今回タブレットで複数台のロボット管理が行える新機能を追加した。
安藤ハザマとイクシスはこれまで、検査業務の効率化を目指し、「自律走行式ひび割れ検査ロボット」を開発してきた。その中で両社は2020年12月7日に、タブレット端末を用いてロボットの検査状況を管理するシステム(モニタリングシステム)を実装し、実現場での導入効果の検証を経て、複数台のロボットを運用するひび割れ検査システムを確立したことを公表した。
ひび割れ検査ロボットは、検査範囲を指定するだけで床全面を一定間隔で撮影し、画像は無線LANでPCに随時転送され、AIで幅0.1ミリ以上のひび割れを自動検出する。検出したひび割れは、CAD図面上に幅ごと色分け表示して出力される仕組み。
ロボットの走行は、レーザーセンサーなどで取得する周辺情報をベースにしたSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術で自己位置を推定することで、自律走行を可能にしている。そのため、柱やその他の障害物を回避しながら、床面積1500平方メートルの検査が約6時間で完了する。
新たに実装したモニタリングシステムは、タブレット端末でロボットの検査状況をリアルタイムに一元管理するシステムで、オペレーター1人だけで複数台のロボットを管理することが可能になる。複数台のロボットを同時に使用すれば、同一区画をより短時間で検査し、検査業務の大幅な効率化が見込める。
ロボットは、タブレット端末1台で最大24台までを管理。ロボットとタブレット端末は、Wi-Fiで接続し、離れた場所から複数台のロボットをモニタリングすることができる。画面には、ロボットの現在の走行位置や検査の完了予定時間などが表示され、ひび割れ検出状況も確認可能なため、ひび割れが見つかったら即座に目視でも確かめられる。
また、照明の光量やカメラのシャッタースピードを設定する機能、ロボットに何らかのエラーが生じた場合の警告表示やアラートによる通知機能も搭載している。
導入効果の検証では、大規模な工場の施工現場で、新システムを用いて複数台のロボットで自動検査を行った。その結果、ロボットを効率よく使用し、管理することが実現し、検査時間の大幅な短縮や時間当たりで検査量の増加につながることが確認された。これまでは、ロボットの管理方法や検査時間の短縮が課題とされていたが、大きな改善が図れたという。
今後、安藤ハザマでは、自社のさまざまな建設現場で運用する他、将来は外販やリースも視野に入れている。
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