下水処理施設の被災時に使える汚水処理技術、帝人フロンティアInterAqua 2021(2/2 ページ)

» 2020年12月14日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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仮設住宅における衛生的な生活確保を実現する排水処理が可能

 2020年の10月頃には、B-DASHプロジェクトの一環として、帝人フロンティアやエステム、積水アクアシステム、日新技術コンサルタント、豊橋技術科学大学、田原市が、余剰汚泥削減型の水処理技術を用いて、災害時に応急処理で使える汚水処理技術の実用化に関する実証事業を愛知県田原市の田原浄化センターで開始した。

 実証では、災害発生で汚水処理施設の機能が停止と将来の人口減少を見据えて、処理施設の一時的な能力不足を補える処理施設実現のために、運搬、組み立て、解体、運転、立ち上げ、維持管理が容易な水処理技術を検証した。

 具体的には、水処理技術に、調達が簡単で可搬性に優れ、現地で組み立てが可能なパネルタンクと排水処理用繊維担体で構成された生物反応槽を使用した。

田原浄化センターでの生物反応槽の設置作業
田原浄化センターに設置された生物反応槽

 帝人フロンティアの担当者は、同生物槽を使った汚水処理の手順について「まず、パネルタンクに排水処理用繊維担体を搭載した生物反応槽を田原浄化センターの沈殿池横に配置し、水路から汚水を取水して、注入水を生物反応槽に送水する。その後、生物反応槽内で、凝集滅菌と固形塩素剤による殺菌処理を行い、放流可能な水準まで清浄化する。また、生物反応槽には、可搬式で搭載が容易な遠隔監視装置が付いており、遠方から汚水の処理状況を確かめられる」と説明した。

 今回適用した生物反応槽の適用シーンについて、帝人フロンティアの担当者は、「被災した処理場での復旧工事期間中における排水処理や破損した管路施設により分断された処理区の早期供用開始を目的にした分散配置、仮設住宅における衛生的な生活確保に向けた排水処理での用途を想定している」と語った。

田原浄化センターに設置された生物反応槽の活用イメージ

 今後の展開について、帝人フロンティアの担当者は、「これまで、排水処理用繊維担体を利用した余剰汚泥削減型の水処理技術は主に、自動車や化粧品原料などの工場で排水処理に採用されてきたが、現在、辰野水処理センターでの導入を契機に、水処理施設への訴求に注力している。田原浄化センターでのB-DASHプロジェクト終了後は、緊急事態に対応できる技術として、余剰汚泥削減型の水処理技術をPRする見込みだ」と明かした。

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