明電舎は、人手不足や現場の熟練者の高齢化が進行する現状を踏まえ、ノウハウや技術がなくても、メンテナンス作業を行えるARサービスの開発を進めている。
AIによる下水処理施設の運転管理や変電・配電などのシステムを展開する明電舎は、「下水道展’19横浜」(会期:2019年8月6〜9日、パシフィコ横浜)に出展し、開発中のARを活用したメンテナンスサービスを参考出品した。
ARを活用したメンテナンスサービスは、熟練者のノウハウをARで表現し、管理業務を支援するツール。クラウドサーバを用いてタブレット端末の撮影画面上に、対象物のメンテナンスに必要な情報を重ねられ、高効率なワークフローを実現するという。
点検箇所に図やテキストをARで表示し、業務支援に使える他、機械の作業手順を3Dモデルで映し、安定したオペレーションを可能にしたり、現場の機器状況を事業所や本部と共有し、相互通信でワークフローの指示ができるなど、日常・定期点検、異常時の対応にも役立つ仕様となっている。
会場では、直流電源盤の写真を壁に貼り付け、タブレット端末を用いて、ARを活用したメンテナンスサービスのデモンストレーションも行われた。ランプ点検や受電、故障、充電方式、R-SとS-T入力電圧の確認といったメンテナンス作業に対して、タブレット端末の撮影画面上に、テキストや図を映し、サポートする一連の流れが披露された、
明電舎の担当者は、「各メンテナンス会社で、人手不足や現場の熟練者の高齢化が加速しており、技術とノウハウの引継ぎが難しくなってきている。こういった課題を解決するのがARを活用したメンテナンスサービス。新入社員や経験が浅い従業員でも、このサービスの操作指示で、ベテランと同様に仕事が行えることを目指している。また、外国人労働者が増加していることを考慮し、多言語対応なども検討中だ。現在、電源盤向けのみしかラインアップしてないが、他の設備への対応も見込んでいる。リリースは2020年以降を予定しており、発売後、下水道やプラントなどのメンテナンス会社に提案していく」と語った。
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