カンツールは、下水道管内の調査や不明桝の発見に役立つ管内検査ロボット「ROVION」を2017年に開発した。以降、展示会などでROVIONの訴求を続けている。
カンツールは、下水道管の維持管理で役立つ管渠(かんきょ)更生や修繕の技術などが一堂に会した展示会「下水道管更生技術施工展 2020 横浜」(会期:2020年7月29〜31日、よこはま動物園 ズーラシア北門駐車場)に出展し、管内検査ロボット「ROVION」を披露した。
ROVIONは、搭載された左右のクローラーが独立で駆動するため、前進と後退だけでなく、蛇行走行と旋回も行え、円形の管だけでなく、ボックスカルバートや側溝も走れる。クローラーには、ゴム製のものやポリ塩化ビニール管で滑りにくいコランダムホイールなどを装着可能。カンツールでは、工具を使用せず現場でクローラーに取り付けられる「QCDホイール」も扱っている。クローラーやホイール、管径変換ユニットを組み合わせることで、管径100〜2200ミリの下水管に適用できる。
ROVIONの操作は、タッチパネルとジョイスティックを備えたコントローラーで行える。コントローラーからの指示は、ROVIONの後部に取り付けられたケーブルを通して、機体に伝えられる。ケーブルはコントローラーだけでなく、電動ケーブルドラムにもつながっている。電動ケーブルドラムは標準でリモートコントローラーが付いており、リモートコントローラーで、ケーブルの取り回しやクローラーの走行、ROVIONに搭載されたカメラの方向操作などが進められる。カメラで取得した映像は電動ケーブルドラムにつながったモニターで確かめられる。
また、機体に内蔵されたセンサーで、温度や圧力などを検知したデータは、ケーブルドラムに接続したモニターで見られ、機体内部の状態を確認するのに役立つ。クローラーやカメラヘッド内はIP68の防水仕様で、両機器の内側に窒素ガスを充満させることで、内部への水の侵入を防いでいる。
ROVIONの拡張性について、カンツールの担当者は、「ROVIONは、直側カメラだけでなく、本管から取り付け管を調査するサテライトシステムも装着できる。サテライトシステムは、カメラヘッドとクローラーに付いた発信機で距離が測れ、駐車場やマンション、戸建て住宅などが建設される際に、コンクリートで舗装されて塞(ふさ)がった汚水桝(ます)“不明桝”の場所を特定可能。不明桝と接続された取り付け管は放置すると、陥没事故を誘発するため、発泡モルタルを流し込み、埋める必要がある」と説明した。
また、「2019年は、富山県高岡市で不明管調査が大規模に行われたため、地元の会社がROVIONとサテライトシステムを導入した。今後は、愛知県の名古屋市や豊橋市で、不明管調査が実施されると見込んでいるため、両市の配管調査会社に対して、ROVIONとサテライトシステムを訴求していく」と展望を明かした。
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