下水道BCP策定マニュアルに水害への対策を追記、国土交通省プロジェクト(1/2 ページ)

国土交通省は、地震や津波、水害などの災害時に、下水道施設が迅速に復旧できるマニュアルの整備を進めている。

» 2019年09月12日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

 国土交通省の下水道BCP(Business continuity planning、事業継続計画)策定マニュアル改定検討委員会は2019年9月6日、東京都新宿区の日本下水道新技術機構で、意見照会を実施し、下水道BCP策定マニュアル2019年版の案を集約した。

災害時の燃料供給体制の整備についても新たに記載

 下水道BCP策定マニュアル改定検討委員会は2009年11月に、災害時に迅速かつ高いレベルで下水道が果たすべき機能を維持・回復することなどを目的に、「下水道BCP策定マニュアル(地震編)」の改定を行い、この取り組みをスタート。2012年には同マニュアルの名称を「下水道BCP策定マニュアル(地震・津波編)」に変更した。

2019年9月6日に開催された下水道BCP策定マニュアル改定検討委員会の意見照会

 2019年版は、これまでの「地震・津波編」に加え、「水害編」を設け、内水や河川氾濫などの被害を想定した内容を組み込んでいる。

 追記された水害発生時の優先実施業務の項目では、「水防本部への参集」「降雨情報などの確認」「下水道施設に関する情報の確認」「水防本部、関連行政部局との連絡調整」「水害発生に備えた事前準備」の順に、業務の概要や遅延による影響を掲載している。

 また、水害の特徴は、突発的に生じる地震や津波と異なり、警報・注意報の発表から浸水などの被害が現れるまでに時間的猶予があり、その間に予防措置を進められることから事前と事後の対応を含む内容を載せている。

 2018年7月に西日本を中心に北海道や中部地方にも損害を与えた豪雨と、同年9月6日に発生した北海道肝振東部地震で判明した下水道事業の課題を踏まえた対応策も新たに追加している。

北海道肝振東部地震の被害状況、清田区(左)と東15丁目(右)

 北海道肝振東部地震の項目では、発生した大規模停電(ブラックアウト)の事例や課題、対策を盛り込んだ。

 北海道肝振東部地震は、道内全域の停電を引き起こし、下水道施設に設置されている非常用発電設備などの燃料調達が必要になった。災害時に燃料が不足する中、札幌市では普段から地元給油業者と取引していたことや自治体と石油組合で締結していた災害協定で、燃料を手にすることができた。

北海道肝振東部地震で明らかになった課題

 このケースで明らかになった課題の1つとして、燃料を仕入れる際に、情報共有方法と役割分担に関する取り決めが不十分だったことを挙げている。この不整備により、下水処理場などの各施設と自治体・下水道部署といった災害対策本部が連携をとらず燃料を調達し、購入先が重複する事態が起きた。

 そのため、情報共有方法と役割分担を確立させることや緊急的な給油に対応するため給油口の位置・形状の整理を事前対策として明記している。

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