平均20日掛かっていた解体工事金額の見積もりを、AIで自動化することで、最短1分に短縮することができるマッチングサービス「くらそうね」が本格始動する。くらそうねによって、施主と工事会社との直接取引が可能になり、従来のハウスメーカーや大手不動産会社を介す際のマージンが発生しなくなり、工事費用も抑えられるようになるという。
解体工事や外構工事の一括見積もりWebサービスを展開しているクラッソーネは2020年3月30日、複数の解体工事会社による見積もり予想金額の算出をAIで自動化し、解体を希望する施主と施工会社をマッチングさせる「くらそうね」正式版の提供を同年4月1日に開始すると発表した。
クラッソーネでは、年内にサービスの月間利用者数2000人を目指し、社会課題化する「空き家問題」の早期解決や昨今注目を集めている「住まいの終活」に取り組むとしている。
クラッソーネはこれまで、解体工事の一括見積もりサービス「くらそうね解体」を2011年に開始したのを皮切りに、翌2012年には外構工事を対象にした「くらそうねエクステリア」を展開し、現在に至るまで5万件以上の相談実績がある。
正式版では、解体工事完了までの期間を短縮化する目的で、これまでの「くらそうね解体」における累積約2万3000件の住宅解体に関する見積もりデータをもとに、AIで解体の見積もり予想金額を算出する新サービスを開発。2019年12月よりβ版として愛知県限定でテストを重ねてきたが、このほど、全国800社以上の解体工事会社のネットワークを整備し、全国での提供に踏み切った。
正式版は、複数の施工会社による見積もり予想金額をAIで算出できる国内初のマッチングサービスとなっている。Web上で約10項目の物件情報(建物詳細・近隣環境・動機・工期など)を選択し、郵便番号と電話番号を入力するだけで、価格予測AIが工事会社の予想金額を最短1分で弾き出す。施主はその場に居ながらにして、最大で10社からの見積もり予想金額を確認することができる。
また、ダイレクトに工事会社へ発注するため、通常のようにハウスメーカーや不動産会社を仲介しないため、マージンが無くなり、工事費の削減がもたらされる。一例として、自宅の建て替えで、工務店経由での解体工事の見積もり金額が190万円だった案件では、くらそうねのサービスを経由すると155万円に収まり、約2割のコストカットが実現したという。
サービス上では、工事会社の口コミや定量的な評価(対応マナー、追加費用、工事品質、工期順守、近隣配慮の5項目)が表示されるため、工事会社を選定する際の判断材料に役立つ。
一方で、工事会社にとっても、自社の予想金額や会社情報をチェックした施主のみが本見積もりを申し込むため、受注確度の高い顧客を獲得できるメリットがある。実際にアプリ上だけで、見積もり作成と顧客への送付ができるため、これまでの書類作成の手間が省け、会社情報ページで自社の強みやこだわりをアピールすれば集客効果にもつながる。
くらそうねの施主側の利用料は無料。主な機能は、見積もり予想金額算出、工事会社情報の閲覧、メッセージ送受信、見積もりから工事完了までの一気通貫のスタッフ相談が用意されている。
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