インタビュー
» 2020年02月03日 05時52分 公開

不動産業界のDX最前線:「アナログな業界で“不動産テック”を巻き起こす」、オープンハウスがAI/RPAで2.5万時間を削減 (1/4)

アナログな不動産業界で、他社に先駆けAIやRPAなどを導入した“不動産テック”で、煩雑な事務作業を自動化をさせ、働き方改革の実現を目指すオープンハウス――。会社設立が1997年と後発ながら、土地の選定から、住宅設計、販売までのワンストップサービスを武器に、毎年30%以上の成長を続け、2019年(2018年10月〜2019年9月)には5403億円の売上高に達するまでに発展を遂げた。ここ数年は、自前でシステムを開発できる情報システム部門を社内に設置し、新たなソリューションの創出によって、業務改善と営業機会の損失を防ぎ、さらなる業容拡大を見据える。

[石原忍,BUILT]

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 「好立地、ぞくぞく。」の新コンセプトで、都心での戸建て住宅を相場よりも1000万円安く提供すると掲げている総合不動産メーカーのオープンハウスは、他社に先駆け、不動産業務にAIやRPA(Robotics Process Automation)を採り入れ、年間2万5700時間の工数削減に成功している。

 “不動産×テクノロジー”の「不動産テック」の導入意図と具体的な成果について、オープンハウス 情報システム部 課長 中川帝人氏(シニアデータサイエンティスト)に聞いた。

超成熟産業のなかで、売上高/当期純利益ともに成長率30%以上を達成

オープンハウス 情報システム部 シニアデータサイエンティスト/課長 中川帝人氏

 オープンハウスは1997年の創業以来、東京を中心に、居住用不動産の販売・仲介、戸建て住宅の開発、マンション分譲、収益不動産の各事業を柱に展開している。

 不動産業界は“超成熟産業”と言われ、全体の成長率は7%にとどまっている(出典:業界動向サーチ2019年)。停滞した市場のなかでオープンハウスは、売上高成長率30%を持続させ、21年間で業界8位にまで上りつめた。長らく財閥系デベロッパーや電鉄系企業などが売上高ランキングの上位を占め、順位が入れ替わることのなかった業界に新風を巻き起こしている。

 オープンハウスのはじまりは、世界最大の不動産仲介ネットワークを有するセンチュリー21の加盟店として、不動産仲介業に乗り出したのが出発点。その後、リーマンショックの影響で、高騰していた地価は一気に下落。オープンハウスでは、不況が到来する前に保有していた土地を売却して多額の資金を得ていたため、暴落後には優良な土地を安価で手に入れることができ、これが躍進の原動力となった。

 事実、2010年から3年間で、世界中の加盟店の中で、売上世界1位を連続で獲得するまでに伸長し、2012年にはフランチャイズ契約を解消し独立。早くも翌2013年には、東証1部に上場を果たしている。

直近7年で売上高の平均成長率30%を継続

 なぜ、オープンハウスの家が求められるのか?理由の一つには、住宅に対するニーズの変化を的確にキャッチし、これまでどこもすくい取れなかった新たなマーケットを切り拓いたことにある。

 近年は、郊外から都心部の好立地へ、大型物件から3LDKほどの比較的コンパクトで安い家へと、トレンドが移り変わっている。オープンハウスでは、こうした時代の潮流をいち早く察知し、グループ内で、土地の仕入れから、設計、販売、建築までを一気通貫で顧客と向き合う“製販一体”のビジネスモデルを確立した。一般的には、メーカー、仲介、建て売り業者、工務店、設計事務所など、業者間のマージンが発生して余計な費用が施主の負担となってしまうが、中間を排し、自社一括とすることで、「都心・好立地」×「コンパクト」な戸建てを相場より1000万円も格安で提供することが可能になった。

土地の仕入れから企画・設計・建築・販売までトータルで提供

 他の不動産会社であれば、デベロッパーの下に施主と直接やりとりする販売会社が置かれ、製販が分離していることがほとんどだが、企画/開発/設計、土地の仕入れはグループ内のオープンハウス・ディベロップメント、販売はオープンハウス、建築はオープンハウス・アーキテクトがそれぞれ担当する体制が敷かれている。

 顧客との仲介を親のオープンハウスが担うため、企画/開発が価格を先に決めてしまうのではなく、低価格にこだわり、顧客の要望を逆に商品開発へとフィードバックすることに重点が置かれているので、コストを抑えて要求に沿った住宅提案ができるのが強みとなっている。

オープンハウスの施工事例

 オープンハウスで情報システム部門の先頭に立つ、シニアデータサイエンティストの中川帝人氏は、「こうした製販一体の他に無いビジネスモデルを支えているのがICTの活用だ」と話す。

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