日本のBIMのダメなところの2つ目は、自らの業務を大幅に変えるということをしないで、設計の道具をBIMソフトに変えるだけで、結果がついてくると思っていることだ。そもそも、BIMを推進するリーダーたちがBIMソフトで業務を実践したことがないから、他人ごとなのだろう。BIMソフトの特徴を知ってさえいれば、「BIMへの移行は、業務プロセスの改善である」ことが理解できるはずだ。
元来、日本人は勤勉で優秀という過信から、これまでの技術や仕事のやり方に何も疑問を感じていない人は多い。それでよければ、そもそもBIMなどという無駄な投資をせず、むしろBIMをやらない会社として確固たる立ち位置を表明した方が、よほど潔い。
さらに、もう一つダメなところを付け加えると、BIMの移行が進んでいないにも関らず、海外で流行っている最新技術だけには、敏感に飛びつく傾向が多々見られることである。本来ならば、BIMという新しい技術への移行と業務プロセスの改革があってこそ、新たな技術を採用する意味と価値が生じるという肝心なことが認識されていない。
日本のBIMがダメな理由は、実のところ、もともとは当社のBIMのダメだったところにも置き換えられる。これは、他社にも当てはまる部分があると思うので、あえて自戒を込めて連載の最初に書かせていただいた。もちろん、正しくBIMを進めている企業もあるのは理解しているが、何らかの参考になればと思い筆をとった。
本連載では、大和ハウス工業が、どうやって克服し、その先にどのような可能性を構想しているか、詳(つまび)らかにしていきたい。
★連載バックナンバー:
『BIMで建設業界に革命を!〜10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ』
■第1回:日本のBIM先駆者が警鐘を鳴らす「なぜ日本のBIMはダメなのか?」
» 長谷工が障壁を乗り越え、マンションの“ライフサイクル全般”でBIMを活用できたワケ
» “10兆円企業”を目指す大和ハウス工業が成長基盤と位置付けるBIMへの取り組み
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