大和ハウスや三井不動産らとパートナーを結ぶスタートアップ企業のHacobuは、物流の現場が抱える社会問題解消のため、IoTとクラウドを統合した物流情報プラットフォームの開発を本格化させる。
Hacobuは2019年9月19日、大和ハウス工業、アスクル、Sony Innovation Fund、日本郵政キャピタル、日野自動車との取り組みを通じ、物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」上で物流ビッグデータを蓄積し利活用することで、ドライバー不足などを解決する構想「Sharing Logistics Platform(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」を発表した。同時に、物流拠点(MFLP)の開発や運営を手掛ける三井不動産とも、新たに資本業務提携を締結した。
Hacobuは、「運ぶを最適化する」をミッションに掲げる物流向けアプリケーションやハードウェアの開発を行うスタートアップ企業。構想するSharing Logistics Platformは、IoTとクラウドを統合したオープンな物流情報プラットフォームMOVO上に、会社や業種の枠を超えビッグデータを集約し、活用することで社会最適化の実現を目指している。
同日に都内で開催された記者発表会で、Hacobu 代表取締役社長CEOの佐々木太郎氏は、「ここ数年は、さまざまな場面で物流の非効率化が指摘されており、このままでは今のように(ネット通販などで)迅速かつ安価にはモノが買えなくなってしまう。解決には、モノの移動に関する社会コストを下げることがキーとなる」と指摘。
モノをトラックで運ぶ市場については、「企業間物流で10兆円以上と宅配便などのラストワンマイル領域で2〜3兆円の合計14〜15兆円で成り立っている。しかし現状では、紙や電話、FAXがメインツールとなっており、まだ“Socety 3.0”の世界といえる。その中でドライバー不足や低い積載率、長時間労働、温室効果ガスの排出、騒音などの環境問題、廃棄ロスといった数々の問題を抱え、物流クライシスとさえ呼ばれている」(佐々木氏)。
鉄道貨物協会の発表によると、2028年にはトラックドライバーが28万人不足するとされている。また、国土交通省のデータでは、営業用トラックの積載率は40%まで低下したとされ、資産効率が非常に悪い状況を招いている。
同時に物流のシステムでも、出荷計画の伝達がスムーズではなく、待機車両が発生していることや車両の手配がアナログで煩雑かつ属人化であること、配送状況が可視化されていないなど、“物流の三重苦”が起きている。
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