3つ目は、中小企業がICT施工に取り組みやすい環境を整える。中小企業が、小規模な工事でもICT施工を導入できるように、土工(掘削)のうち、新たな区分となる小規模5000立方メートル未満の工事を対象にした。
これまで掘削工は、ICT建機の利用割合が一律で25%にとどまった。この実態調査を受け、小規模施工(掘削工)では、ICT建機の利用割合を現場に応じて設定可能にした。
4つ目が、公共事業のイノベーション促進で、2019年度は測量に関わるオープンイノベーションを行う。測量に関わるオープンイノベーションは、電子基準点データなどのオープンデータを活用して、測量と測位の効率化、防災、減災をバックアップする。この他、新技術活用に向けた取り組みも紹介された。
国交省は2017年から、「新技術のニーズ・シーズマッチング決定会議」を開催している。会議では、まだ実用化には至っていない開発途上の技術と、建設現場の需要をマッチングさせ、第1回目では5件のテクノロジーが合致した。
5件のうちの一つが「工場現場の可視化と遠隔地での確認ができる技術」。工場現場の可視化と、遠隔地で現場確認ができるもので、ブイキューブ(旧パイオニアVC)が開発した。
この技術は、音声とカメラ映像をネットワークによって、現場と事務所の双方でリアルタイムに共有。カメラによるスケール確認や映像上にペンで書き込め、指示を与えることが可能だ。また、定点カメラで現場全体の施工状況を随時確認することで、往復で2時間かかっていた現場に行く時間が削減された。
第2回目は、2018年に開催し、11件のテクノロジーがマッチング。今後は、国交省だけでなく、地方整備局でも、実用化されていない技術のニーズ・マッチングを行っていくという。
2018年には、建設現場からデジタルデータを即時に取得し、このデータを用いて、IoTとAIなどを試行することで、生産性向上に貢献するプロジェクトを公募した。技術提案内容は、施工時の労働生産性を向上させるものと品質管理の高度化に貢献するもので区分。選定の上、契約を締結した計画は、2018年度官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の推進費で実施された。
具体的に契約を締結した提案の例として、前田建設工業とミツフジのスマートウェアがある。作業員が着用したスマートウェアと装着したセンサーで、心電波形や加速度、衣服内温度、位置情報、外気温、湿度に関するデータを取得。作業時のストレス評価を行い、位置情報によりストレスが高くなるエリアを発見し、作業の不効率を招いている要因を探る。
新テクノロジーの活用実態について中西氏は、「2017年度に活用された新技術数は1万9698件と過去最大数となった。新技術の活用率は若干減少傾向にはあるが、引き続き40%台を維持している」と報告した。
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