建設ICT市場の成長を目指す「アクティオ版i-Construction」、ICT土工体験会から探るi-Construction(1/3 ページ)

建設機械レンタル大手のアクティオは2018年11月30日、ICT建機やドローン測量など、アクティオが提供する建設向けICT製品群を一堂に集めた体験会「i-Constructionプレスセミナー」をアクティオ千葉トレーニングセンターで開催した。

» 2018年12月06日 09時00分 公開
[石原忍BUILT]

 アクティオでは、企業理念として「レンタル」と「コンサルティング」を掛け合わせた「レンサルティング」を標ぼう。建設業界の人手不足や働き方改革など山積する課題に対し、アクティオ版のi-Constructionを掲げ、建設ICTのレンサルティングを日々提案している。

 ICTの講習会が行われているトレーニングセンターでのプレスセミナーでは、ICT土工の一連の流れに、ドローンやICT建機、点群データなどのICT技術を採り入れ、従来型の施工とICT施工の違いや実際の使い方などを解説した。

ICT土工の起工測量〜出来形納品まで体験

ICT施工推進課長・日南茂雄氏

 冒頭でアクティオ ICT施工推進課長・日南茂雄氏は、「ICTが建設の現場に持ち込まれて2018年で約10年が経過する。国土交通省の施策である“i-Construction”が大きく後押しして、土木分野ではここ2、3年で急激に進化した。しかしながら、まだ一般的では無い概念のため、ICT施工の一連の流れを実体験してもらいたい」と趣旨を説明。

 国土交通省が2016年から推進するi-Constructionの背景には、建設業の労働力不足の問題がある。技能労働者340万人のうち、今後10年間で110万人が高齢化を理由に離職する可能性があるとされている。

 一方で若年層の入職も見込めず、今と同じ現場数をこなすと想定すると、将来1人当たり“1.5倍”の力がかかってしまう。そうなると、休みが取れず、残業も増えることになり、ますます労働力の減少につながる。このハードルをICT化によって解決し、これまでの「きつい・危険・汚い」の3Kから、新3K「給与・休暇・希望」の魅力的な業界になることを目指している。

 日南氏は、「建設業は製造業に比べても技術の浸透が遅れていて、既に製造業では3次元データを使いロボットで物を作っている。それに対して、建設業では今まで使ったことの無い3次元データを施工業者は扱わざるを得なく、アクティオに全部任せたいというオーダーも少なくない。それでは、業者サイドの工事費がかさみ、利益も出ずに、結果としてi-Construction自体の衰退を招きかねない。そのため、3次元設計データの作成方法やドローンの飛ばし方など、施工業者向けに講習会を定期的に開き、利益を出せるICT化の手法を学んでもらい、最終的には市場を育てていくことを目標としたい」と語った。

 実際に国内の建設機械は、半数以上がレンタル会社に納品され、建設会社に貸し出されている。建機の運用ノウハウと、現場のニーズがレンタル会社に集約するため、アクティオではi-Constructionにおいても、ハブとしての役割を担うとしている。社内でもi-Constructionに対応した社員をまず100人育成。社外に対しても、ICTを活用した測量・施工が学べる国内2カ所のトレーニングセンターを拠点に、建設会社への研修を行っている。

i-Constructionの背景となった予測される建設業の労働力不足 

 i-Constructionのうち、既に取り組みが始まっている「ICT土工」では、1.ドローンによる起工測量、2.3次元の測量データによる設計・施工計画作成、3.ICT建設機械による施工、4.出来形管理、5.3次元データ納品の5つのプロセスが求められる。これらの5つの項目は、ICT施工を行った現場で提出が必要とされる「ICT活用工事計画書」で定められている。計画書があることで、発注者と施工者がどのICT施工を行うか協議し、1から5までを実施して始めてi-Constructionと発注機関から認められる。

ICT土工・舗装工の2016・2017年度実績
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