国土交通省は、人手不足や高齢化が進行する建設業の生産性向上を図るために、i-Constructionの活用を推進している。2018年の「深化」から発展させ、2019年は「貫徹」の年と位置付け、新たな4つの取り組みを軸に展開していく。
国土交通省(以下、国交省)は2019年5月22日、「建設・測量生産性向上展」(会期2019年5月22〜24日、幕張メッセ)で、特別セミナーを開催。大臣官房技術調査課の中西健一郎課長補佐が登壇し、2019年に取り組む新たな施策や新技術に関する事例を紹介した。
国内の建設投資は、ピーク時の1992年度には84兆円に達したが、2010年度には約41兆円まで下落。その後、増加に転じ、2018年度は約57兆円にまで回復した。
一方で、2017年度末の建設業者数は約46万社で、1999年度末の最盛期と比べると約23%減。2017年年度末の建設業就業者数は498万人で、1997年の全盛期と比較すると約27%マイナスとなった。
特に建設技能者数の減退は顕著で、1997年の455万人から2018年の328万人と、100万人以上が業界から姿を消したことになる。
建設現場で加速する人手不足や高齢化の解決策として、国交省は2016年から、生産性向上を掲げたi-Constructionを進めている。i-Constructionは、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理、更新までの全工程でICTを活用するというもの。国交省は、i-Constructionで、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上することを目指している。
実現に向け2017年には、i-Constructionコンソーシアムを設立。国交省だけでなく、有識者や民間企業、行政機関などで会員を構成し、技術開発や3次元データ活用に向けた検討などを進めている。
中西氏は、i-Constructionを貫徹する1年と位置付ける2019年の取り組みについて、「これまでは、施工や測量に重きを置いていたが、これからは、蓄積された3DデータやBIMとCIMを用いて、維持管理の範囲にまで拡大していく。さらに、AIによる点検技術の開発や維持管理のスマート化もこれからは検討材料となるだろう。最終的に建設生産プロセス全体を3次元データでつなぎ、i-Constructionが建設工事のどの段階でも活用できる環境を整備していく」と語った。
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