今回の実証でパナソニックEWは、自動運転車を道路側から支援する路車協調システムを見据え、センサーの低位置化も検証した。
路車協調システムの一つに、自動運転車の車載センサーから死角となる情報を、道路側センサーで検知してリアルタイムに車両へ提供する仕組みがある。高速道路では、本線への合流やカーブの先にある落下物などが事前に分かれば、衝突回避などにつながる。
センサーによる道路状況の把握は、従来はLiDARなどの長距離センサーを高所に設置する方式が一般的だ。ただし、高所設置には施工やメンテナンスに課題がある。そこで今回は、AIカメラを使った近距離センサーを低い位置に設置した。
低位置センサーによる路車協調の考え方。近距離センサーを低位置にアレー配置し、自動運転車への先読み情報の提供を目指す。路車協調システムの検討は、AIセンサー技術や通信インフラシステムを持つパナソニックシステムネットワークス開発研究所が中心となって進めている 提供:パナソニック エレクトリックワークス低位置にセンサーを設けた場合、手前を走る車両に遮られ、奥の車線を走る車両を捉えにくくなることが懸念される。そこで弱点を補うため、複数のセンサーを道路に沿って並べ、検知範囲が重なるように配置する「アレー型」とした。武内氏は「1台のセンサーだけではなく、複数のセンサーを道路に沿って設置することで、複数の方向から道路環境を検知できる」と解説した。
実証では、複数のセンサーによる多角的な検知によって、低位置センサーの弱点となる第2車線のデータを補完できることを確認した。先頭車両の検出距離は従来の高所設置方式と同等で、後続車両の検知にも強みがあることが分かった。
今回の実証では低位置照明とセンサーは別々に検証した。照明による白線認識の実証は夜間に行った一方、センサーは照明とは別に設置し、昼間に検証した。夜間にセンサーがどのように機能するかなどについては、今後さらに検証を深める必要がある。
パナソニックEWが目指すのは、道路照明を単なる「照らすだけの設備」に限定しないことだ。武内氏は「光とセンサーによって安全な移動を支える、道路のデジタルインフラへ進化させていきたい」と展望を語った。
T2の岩井氏も、パナソニックのこうした照明設備技術と自社の自動運転技術が組み合わさることで、「自動運転トラックのさらなる安全性の向上、ひいては社会受容性の向上につなぐことができる」と期待を示した。
パナソニックEWは、この構想の社会実装に向けて、まず合流部やカーブなどの主要箇所から導入を始める。2030年代には自動運転の普及に合わせ、関東〜九州間の約1000キロを視野に入れ、幹線道路を中心に対象を広げる構想だ。
また、自動運転車への先読み情報の提供だけでなく、照明で照らした路面のひび割れなどをセンサーで捉え、インフラ維持管理に活用することも視野に入れる。
今後は実証を重ねて効果を検証し、NEXCOを含む道路事業者へのヒアリングや協議を進めるとともに、国土交通省や道路管理者に導入に必要な仕様や要件を提案する。将来は業界標準化も見据える。
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