Ristと松江土建は、島根県江津市の「新江川橋 橋梁補修工事」で、AIによるボルト群の腐食判定を実施し、従来の目視作業で約3カ月を要する見込みだった診断工程を約1カ月に短縮した。
Ristは2026年10月1日、松江土建と共同でボルト腐食診断工程を自動化するAIシステムを開発したと発表した。松江土建が施工する島根県江津市の「新江川橋 橋梁補修工事」で、AIによるボルト群の腐食判定を実施し、従来の目視作業で約3カ月を要する見込みだった診断工程を約1カ月に短縮した。
新江川橋は、島根県江津市の江の川下流に架かるダブルデッキトラス橋で、上層を国道9号の江津バイパス、下層を市道新江川橋線が通る。今回の補修工事は上層の「国道9号線新江川橋」が対象で、国土交通省中国地方整備局浜田河川国道事務所が発注した。工事は2社が担当し、松江土建は東側部分を施工している。
橋梁補修工事では、交換が必要なボルトを選定するため、事前に腐食状態を診断する必要がある。今回の診断対象は約3万8000本に上り、従来の目視判定では作業員2人で約3カ月を要すると見込まれていた。加えて、当初の予定より工期が切迫しており、診断工程の短縮が課題となっていた。目視による腐食判定は、担当者の経験や知識によって判定精度にばらつきが生じやすく、検査品質の平準化も求められていた。
今回の取り組みでは、RistがAIによる腐食の有無の判定を担い、松江土建が継手箇所のボルト群の画像撮影と判定結果に基づく帳票作成を担当した。
AIモデルの開発と学習には、約700本のボルトを撮影した11枚のサンプル画像を使用した。2026年5月7日〜6月2日にモデル開発と学習を実施した。同6月30日〜7月27日には約3万8000本のボルトを含む約3700枚の画像を対象に推論と判定を行った。この工程には、疑似ラベリングによる再学習も含まれる。
判定精度の向上に向けては、複数の開発モデルを比較して採用モデルを選定した。さらに、データ拡張や疑似ラベリングなどの前処理によってモデルの精度改善を図った。画像に写り込んだ背景の汚れや文字を誤認識しないように、判定対象となるボルト群の範囲のみを抽出する処理も施した。
AIによる推論結果では、腐食のあるボルトを赤色、腐食のないボルトを緑色で表示する。
AIの導入により、約3カ月を想定していたボルト腐食診断工程を約1カ月に短縮し、後工程を2カ月前倒しできた。AIの活用によって一定基準での判定を実現し、担当者の経験や知識による判定のばらつきを抑えた。また、高所や狭所、猛暑下での長時間作業を減らし、作業員の身体的、精神的な負担も軽減した。
Ristによると、限られた期間で複数の工程にAIを導入する場合、事前の環境整備や人による確認に手間がかかり、かえって非効率になる可能性がある。今回は工程を細分化し、AIへの置き換えによって生産性向上が見込める領域を精査したことが成果につながったという。
FM:施設管理クラウド「BIMSTOK」、AI検索を点検/修繕履歴に拡大
現場管理:移動式AI配筋検査システムで立会検査70%削減 鹿島建設と三菱電機エンジニアリング
スマートメンテナンス:ドローンとAIで橋梁点検計画から調書作成まで一元化、NTT MEが伊那市とシステム開発
“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(41):「バーティカルAI」と「フィジカルAI」がけん引する建設DXの先の「土木AX」
IES Illumination Awards:万博の大屋根リングを浮かび上がらせた「新しい夜」 照明設計の舞台裏
FM:業界の闇を解消 アケボノがマンション修繕に官公庁基準の「膜厚測定」と「詳細積算」提供Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10