展示の冒頭では、事務所設立前の1960年に竣工した「セントルイス・ワシントン大学 スタインバーグホール」や、「名古屋大学 豊田講堂」といった槇文彦氏の個人としての原点を紹介。その後、1965年の事務所設立第1号プロジェクトとなった「立正大学 熊谷キャンパス」へと続く。「槇総合計画事務所の歴史はキャンパス計画から始まった。都市計画と建築設計を並行して進めるという、事務所の設計姿勢の原点となった」と亀本氏はひもとく。
145作品のうち、既に取り壊された建築は9件にとどまり、多くの建築は現在も利用されている。老朽化した建物については改修や再生プロジェクトも進行している。亀本氏は「都市では建物そのものは更新されていくが、ランドスケープや都市の骨格は長く残る。建築の役割は単に建物を建てるだけではない。その場所の環境や歴史と人々の関係性をつくることが重要だ」と強調した。
亀本氏は事務所の60年を振り返り「今展を通して、自分たちは何のために存在しているのかを改めて考える機会になった」と明かす。「60年の歩みは、木の成長のようなもの。年輪を重ねながら枝が伸び、新しい芽が生まれていく。新芽は以前とは少し違う形になるが、同じ木の栄養を受けて育っていく。新しいテクノロジーを取り入れながらも、江戸時代の都市に存在したコミュニティーなど大切なものを受け継ぐことができる新しい建築を、今後も生み出していく」と述べた。
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