大林組と慶應義塾大学は、リアルハプティクス技術を応用し、山岳トンネル工事の切羽直下での火薬装填作業を無人化した。
大林組と慶應義塾大学は2026年1月20日、遠隔で力触覚を再現する「リアルハプティクス」技術を応用し、山岳トンネル工事における切羽直下での火薬装填作業を無人化したと発表した。火薬の装填と結線作業を遠隔かつ自動で行う「自動火薬装填(そうてん)システム」に起爆用爆薬(親ダイ)の供給装置を搭載したことで、オペレーター室から1人で連続装填作業が可能になった。
自動火薬装填システムは、装填ロボットを大型重機で装薬孔付近まで移動させ、切羽から離れたオペレーター室から遠隔で火薬を装填する仕組みだ。リアルハプティクスを応用することで、ロボットの力触覚が作業者に伝わるため、実際に切羽で作業を行っているような直感的な操作が可能だ。2023年9月に開発した後に室内実験を重ね、2024年12月に実火薬の装填/装薬孔検知技術と連携した自律化に成功した。
新たに搭載した親ダイ供給装置は、複数本の親ダイを事前にセットし、ベルトコンベヤーで順次搬送してロボットに供給する。リアルハプティクスによって供給時の負荷数値や感触が作業者に伝わり、過剰な負荷がかかっていないかを確認しながら安全に作業できる。また、脚線補助の治具や装填順序の統一により、脚線の絡まりや引張りによる破断を解消し、連続した装填作業が可能になった。さらにシステムと親ダイ供給装置の向きを調整可能にしたことで、切羽の下方部分にも装填できるようになり、装填範囲が拡大した。
新システムを国土交通省関東地方整備局発注の「R4国道20号新笹子トンネルその1工事」で試行適用した結果、従来は切羽直下で5人で対応していた作業を、切羽から50メートル離れた場所から1人実施できるようになり、安全性の向上と省人化を実現した。
今後は、複数台での装填や大型重機の自動運転システムとの連携、脚線結線作業の自動化にも取り組み、一連の技術の現場適用を目指す。
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