LIFULLグループのLIFULL ArchiTechとODCは共同で、ドローンによるインスタントハウスの空輸送実験を行い、運搬と設置に成功した。災害発生時に孤立集落や山間地域へ、短時間で居住空間を提供できるようになる。
LIFULLグループのLIFULL ArchiTechは2025年9月26日、重量運搬用ドローンを開発するODCと共同で、ドローンによるインスタントハウスの空輸送実験を実施し、運搬と設置に成功した。災害発生時に土砂崩れにより孤立した集落など陸上輸送が困難な場所にも、短時間で居住空間が提供できるようになる。
LIFULL ArchiTechが提供するインスタントハウスは、ドーム型のテント生地を地面に固定して空気で膨らませ、内側から断熱性のある硬質ウレタン材を吹き付けるシンプルな構造物。1棟当たり3〜4時間で設置できる。
断熱性や遮音性、耐震性、耐風性を確保し、トルコ・シリア大地震や能登半島地震でも、避難スペースや感染症隔離の医務室、応急物資の管理、支援チームの宿泊拠点など多様な用途で使用された。
しかし設置には施工用トラックが現地入りする必要があり、大雨や地震による土砂災害で孤立した集落や山間地域への支援に対しては、道路が復旧するまで支援が難しいという課題があった。今回の実証では完成した居住空間をそのまま空中輸送する実験を行った。
開発にあたっては、ドローンの積載上限80キロ以内にインスタントハウスを収め、さらに吊り上げ時に荷崩れを起こさず安定して運搬できるバランスを実現する必要があった。重量のシミュレーションや吊りひもがずれない構造、吊り位置の検討を繰り返し、条件を満たす施工方法を確立した。
2025年9月28日には、富山県南砺市で行われた富山県総合防災訓練で、孤立集落への提供を想定したドローンによる空輸送デモ飛行を実施した。
LIFULL ArchiTechはこれまで、インスタントハウスを海に浮かべて船でけん引する海上輸送や分割してトラックで陸上配送できるパージ型の開発などを実施してきた。今回の実証により、空/海/陸上経由での輸送が可能になり、離島や山小屋など施工用トラックが到達できなかった場所にも状況に合わせて届けられるようになる。
LIFULL ArchiTechは継続して空輸送の実用化に取り組み、インスタントハウスを全国各地での防災や被災地支援に活用していく。
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