東洋建設と東京大学大学院は、海洋建設のDXを目的とする社会連携講座「次世代海洋建設技術の創出」を共同開設した。海上や海中のセンシング高度化やAIとシミュレーションによる環境変動の予測など技術開発に着手し、経験や技能の依存から脱してデータ駆動型の知能化施工へ転換を図る。
東洋建設と東京大学は2025年10月1日、海洋建設のスマート化やDXを目標に、社会連携講座「次世代海洋建設技術の創出」を共同開設した。設置期間は2028年9月30日までの3年間。
講座では、海上や海中のセンサーを用いたリアルタイム情報収集や物理シミュレーションとAIの統合による環境変動の把握技術、予測技術の開発に取り組む。
研究体制は、東洋建設 総合技術研究所 研究統括部 データサイエンス研究室と、東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻 教授の下園武氏と連携する。東洋建設がAIを用いた物理シミュレーションとセンシングの統合、東京大学が海上と海中のセンシングによる情報収集、処理技術の高度化を担当する。
対象とするセンシング技術は、風速計や波浪計の他に、海上ブイやソナー、LiDAR、カメラ、ドローン、衛星画像などで、各種センサーを連携させたシステムを用いる。
海洋建設は、自然環境の不確実性に対応した高度な専門知識と判断力を要するため、これまでは経験と勘に頼る属人的な施工が一般的だった。しかし、技術者の高齢化や担い手不足が進行する中で、熟練者の知見を次世代に継承するための技術基盤整備が急務となっている。
講座では、経験依存から脱却し、客観的データに基づく、データ駆動型の知能化施工に転換するための基盤技術開発を進める。さらに現場を活用した実践的な研究と教育で、次世代を担う若手技術者や研究者の育成にも注力する。
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