BIM/CIMを進化させる3D地図と点群 PLATEAUとの比較や熱海土砂災害などの現場事例Archi Future 2024(4/4 ページ)

» 2025年10月15日 16時48分 公開
[加藤泰朗BUILT]
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災害対応からPLATEAU整備まで、用途範囲が広がるScanX

 ScanXは、災害対応の現場でも活躍しており、宮谷氏は熱海市の土砂災害と能登半島地震の事例を紹介した。

 熱海では、静岡県が災害前に取得していた点群データをもとに、被災前後の建物を比較。被災前の屋根をグレー、現存する屋根をオレンジで表示することで、全壊した建物を一目で把握した。

 こうした被災前後を比較したデータは、災害復旧計画だけでなく、損害保険会社の保険金査定や自治体の被災状況の記録/分析にも活用されたという。

熱海市の土砂災害後の点群データ。土砂で屋根(オレンジ)が流されていることがはっきりと分かる 熱海市の土砂災害後の点群データ。土砂で屋根(オレンジ)が流されていることがはっきりと分かる

 能登半島地震の事例では、地震による地盤隆起を可視化するためにScanXを用いた。災害後に取得した点群から地面だけを抽出し、災害前のデータとの比較で、最大約4メートルの隆起を確認した。

 宮谷氏によれば、ScanXはPLATEAUの整備にも活用されている。通常は「地面」「植物」「人」など基本分類に対応しているが、PLATEAUの分類では、首都高速の整備プロジェクトで、高欄、道路面、主桁、橋脚といった構造要素をAIで自動識別するように、専用の分類アルゴリズムを開発。構造要素振り分けなどの工数を7〜8割削減できたという。

ローカスブルーが首都高速道路の自動分類を開発。朝日航洋(現エアロトヨタ)が手動でモデル化し、3D都市モデルへ反映 ローカスブルーが首都高速道路の自動分類を開発。朝日航洋(現エアロトヨタ)が手動でモデル化し、3D都市モデルへ反映

 ScanXの価値について宮谷氏は、「導入のしやすさ、直感的な操作性、そして点群処理の実用性という3つの強みを備えている。点群をもっと活用したいという現場の要望に応える“第一歩”として、これからもその役割を果たしていきたい」と展望を口にした。

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