ローカスブルーからは、代表取締役社長の宮谷聡氏が登壇し、最初にオンライン点群処理サービスのScanXについて解説した。
ScanXは、BIM/CIMや点群データの活用を検討する多くの現場で導入が進んでいる。その背景には、「機材やソフトの選択肢が増える中、何を使えばよいのか判断できない」という現場の悩みがあると宮谷氏は指摘し、その解決につながるScanXの特徴を説明した。
1つ目は高いコストパフォーマンス。月額3万円から利用できるサブスクリプション型で、ライセンス数に制限がなく、チームでの共有も可能だ。高性能なワークステーションを必要とせず、一般的なノートPCとポケットWi-Fi環境でも動作する。
2つ目はシンプルで直感的な操作性。画面構成やボタン数を絞り込み、点群ソフトに不慣れなユーザーでも、数クリックで処理が完了する。
3つ目は柔軟なデータ対応と連携機能。スマートフォンやドローン、レーザースキャナーなど取得手段を問わず、さまざまなデータに対応する。DXFなどの設計情報や基準点データを重ね合わせて解析もできる。
また、面積や高さ、土量などの基本的な計測機能も備え、日常的な現場作業の補完ツールとしても活用している。
ScanXを利用した河川工事の進捗管理事例で宮谷氏は、「着工前に点群データで現況を計測し、設計データを重ねることで、計画時点の状態を3Dで確認した。その後、定期的に点群を取得し、9月→12月→3月と進捗を追うことで、3D上で工程を可視化した」と説明。ScanXは、単なるビュワーや変換ツールにとどまらず、工事の可視化や進捗記録を支える実務ツールとしても定着しつつある。
ScanXの上級ユーザー向けには、「ノイズ処理」と「自動分類」を提供している。点群データには、「ノイズが多い」「データ容量が大きい」といった扱いづらさがある。道路を撮影しても、歩行者や電線、街路樹など不要な情報が大量に含まれてしまい、ファイルサイズが膨大になりがちだ。
ScanXでは、AIによる自動分類機能を活用し、効率的にノイズを除去する。宮谷氏は、博多駅前で取得した点群データを例に、歩行者や作業員を含む点群をアップロードするだけで、自動的に「人=青」「植物=緑」「地面=茶」など属性別に色分けし、不要な要素だけを非表示にできることをデモンストレーションしてみせた。
AIによる判定に誤差が生じることもあるが、手動補正も容易で、以前は手作業で点を1つずつ選択して削除していた工程が、ScanXにより「工数が3分の1に削減された」との声も届いている。
「ScanXは、“前さばき”に特化している。不要な情報を除去し、データを軽量化した上で、他社製のモデリングソフトやゼンリンの地図データと組み合わせて、解析や設計に活用する分業型の運用が広がっている」(宮谷氏)。
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