日本大学、飛島建設、光響、PCLは、鉄筋コンクリート構造物の断面修復工事で錆とモルタルを除去する「LSRシステム」を開発し、鉄道高架橋補修工事に実装した。従来工法と比べて騒音を26%、粉じんを53%低減する。
日本大学、飛島建設、光響、PCLは2025年9月24日、鉄筋コンクリート構造物の断面修復工事を対象とした鉄筋ケレン技術「LSR(Laser Surface Refine)システム」を共同で開発し、鉄道高架橋での補修工事に実装したと発表した。
LSRシステムは、パルスレーザーで鉄筋表面の錆と鉄筋に付着しているモルタルを除去し、レーザー照射後にカップブラシで仕上げる工法。用いる機械は重量800グラムで焦点距離16センチのレーザーヘッドと、100V電源で300ワット出力のレーザー発信機本体。発信機のサイズは390×340×585ミリで、重量は26キロ。
LSRシステムでは鉄筋の背面も処理できる他、装置が軽量なため、高所作業車上でも作業可能だ。従来のジェットタガネ工法と比べて施工時間は1.5倍かかるが、特別な技能は不要で、仕上がりも同レベルの水準を確保できる。
鉄道高架橋での補修工事において騒音および粉じんを測定したところ、ジェットタガネ工法と比べて騒音を26%、粉じんを53%低減したという。
単位面積当たりの最終仕上げまでの要した作業時間は、1平方メートル当たりでLSRシステムが3時間、従来工法が2時間となり、LSRシステムは従来工法と比較して1.5倍作業時間が長い。そのため、自動化などの検討を進める計画だ。
断面修復工法は、腐食した鉄筋と周囲のモルタルを除去し、新たに防錆処理を施す補修手法だ。既存の電動工具による施工では騒音や粉じんが問題視されることが多く、市街地では作業が困難なケースもあった。特に住宅や商業施設が密集するエリアでは、防音シートの設置すら難しく、作業時間や工法で制約を受けた。
こうした課題を踏まえ、4者は橋梁(きょうりょう)塗装工事などで実績のあるレーザー除去技術に着目し、建設現場での鉄筋ケレンへの適用を検討。共同で研究開発を進めた結果、コンクリートや鉄筋に変質を与えず、環境への影響を抑えた新技術としてLSRシステムが完成した。
今後は、自動化による施工効率の改善やさらなる普及拡大を目指し、橋梁をはじめとした鉄筋コンクリート構造物の維持管理を進める。
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