鉄建建設とCalTa、マップフォーは、共同開発を進めてきた「非GNSS環境対応マシンガイダンス技術」を実用化した。
鉄建建設は2025年10月6日、CalTa、マップフォーと共同で開発中の「非GNSS環境対応マシンガイダンス技術」を実用化したと発表した。模擬トンネルでの実証を経て、実現場に導入できることを確認した。
今回実用化した技術は、トンネル内や高架下、地下空間など、GNSS(全地球測位システム)信号を受信できない環境でマシンガイダンスを実現するもの。撮影カメラと可搬式LiDARを組み合わせた「エッジシステム」と独自の自動検出システムにより、汎用重機を使用した掘削作業をリアルタイムにモニタリングできる。
エッジシステムの周囲に、絶対座標を付与した複数のARマーカーを配置し、これを自動認識することで自己位置を高精度に把握。重機の位置を3D的にモニター上に表示する。掘削形状の変化はLiDARで取得した点群データを処理して自動検出し、設計モデルとの差異をリアルタイムのヒートマップとして可視化。重機コックピット内のモニターで、1センチ単位で施工状況を確認できる。掘削断面や平面の映像はマルチアングルで表示でき、オペレーターは任意の視点から掘削状態を把握可能だ。
特殊なセンサーを重機に搭載せず、丁張設置も不要なため、測量作業の省人化と作業効率の向上が見込まれる。また、重機作業エリアへの人の接近もリアルタイムで検知し、安全管理の強化にもつながる。
実証実験は、非GNSS環境を再現した模擬トンネル内で、特殊なセンサー類を装備していない0.45立方メートル級のバックホウを使用して実施。重機コックピット内のモニターには掘削出来形のヒートマップやバケットの位置/姿勢を表示し、オペレーターは画面を確認しながら掘削を行った。
掘削後の測量結果では、設計掘削高さに対し平均約20ミリ(余掘り側)程度の精度を確認。丁張がない状態でも所定の掘削が可能だと実証した。従来は作業員が稼働中の重機近くで行っていた掘削深さの確認作業が不要となり、安全性の向上にもつながる。実験は社外関係者にも公開し、現場実装可能な段階との評価を得た。
今後は現場適用に向けて、実施工現場でのエッジシステムの設置方法や運用手順を確立する。また、リアルタイムの施工出来形ヒートマップやマルチアングル視点により、モニター越しに奥行き方向の把握が可能になったことから、今後は遠隔操縦の実証実験も計画中だ。さらに、自己位置推定に関する計測システムの性能向上、計測対象を問わないマルチ計測技術の確立を進め、非GNSS環境を含む幅広い施工現場での展開を目指す。
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