7年ぶりに進化した新世代ショベルと無人化施工で、コマツが未来の建設現場を発信第7回 国際 建設・測量展(1/2 ページ)

コマツとその子会社EARTHBRAINはCSPI-EXPO2025で、「未来の建設現場」をテーマに最新技術を披露した。7年ぶりにフルモデルチェンジした新世代ショベル「PC200i-12」の国内初公開に加え、無人化施工をデモンストレーション。省人化と安全性向上を両立するビジョンを示し、業界の社会課題解決に向けた強いメッセージを発信した。

» 2025年09月16日 09時33分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 建設現場の未来をどう変えるのか──その具体像を示したのは、建設機械分野で業界をけん引するコマツだ。子会社のEARTHBRAIN(アースブレイン)とともに、「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」(会期:2025年6月18〜21日、幕張メッセ)に出展し、自らが描く「未来の建設現場」の姿を提示した。

コマツ/EARTHBRAINのブース コマツ/EARTHBRAINのブース 写真は全て筆者撮影

7年ぶりの進化、「PC200i-12」が示す次世代ショベルの理想像

 展示の目玉となったのは、次世代を担うと建機として2024年12月に販売を開始した油圧ショベル「PC200i-12」だ。土木分野の主力機種となる20トンクラスの油圧ショベルを7年ぶりにフルモデルチェンジした最新モデルで、一般向けには今回が国内初公開となった。

7年ぶりにフルモデルチェンジした次世代油圧ショベル「PC200i-12」 7年ぶりにフルモデルチェンジした次世代油圧ショベル「PC200i-12」

 最大の特徴は、3Dマシンガイダンス(3DMG)を標準装備した点にある。バケット刃先の位置情報をセンサーやGNSSアンテナで取得し、3次元設計データと組み合わせてモニターに表示することで、熟練オペレーターと同様の高精度な施工を実現。丁張や検測作業を省略し、補助員削減に寄与する。

 加えて、衝突を避ける範囲を設定して自動停止するジオフェンス機能、360度周囲の人と物を検知し、速度制御や自動停止を行う衝突軽減システム「KomVision」により、安全性も向上した。

PC200シリーズの進化を紹介するパネル画面 PC200シリーズの進化を紹介するパネル画面

現場の声をかたちに、快適性と安全性を高めた改良点

 PC200i-12は性能面だけでなく、作業環境の快適性も大きく進化している。キャビン幅を約5センチ広げ、居住性を改善。前モデル「PC200-11」と比較して右下の視界性が50%改善し、足元では30%広がった。また、車体後部のエンジンフードをフラットにすることで、後方の視認性も高まっている。

 さらにエアサスペンションシートやキャビン上部のエアコン吹き出し口、板厚を増した作業キーなど、細部にまで作業者目線での改良を施している。メンテナンス性も向上し、地上から容易にアクセスできる構造となった。担当者は「初代PC200から30年以上にわたり寄せられたユーザーの声を形にした」と胸を張る。

さまざまな改良が加えられたPC200i-12のキャビン さまざまな改良が加えられたPC200i-12のキャビン
前方の視野が拡大し、より安全性が高まった 前方の視野が拡大し、より安全性が高まった
後方の視野。エンジンフードがフラットになり、視界が開けている 後方の視野。エンジンフードがフラットになり、視界が開けている
フィルター類などの点検部品を地上から容易にメンテナンスが可能な位置に配置 フィルター類などの点検部品を地上から容易にメンテナンスが可能な位置に配置
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